研究課題/領域番号 |
09305055
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
新海 政重 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70262889)
吉田 純 名古屋大学, 医学研究科, 教授 (40158449)
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キーワード | 温熱療法 / 磁性微粒子 / 造影剤 / 誘導加温 / 癌治療 / 温熱免役 / リポソーム |
研究概要 |
癌治療には外科的な切除法、化学療法、放射線療法、温熱療法などある。温熱療法とは、体温からわずかに高い温度領域(42〜45℃)において腫瘍組織が正常組織より温度感受性が高いという性質を利用して、加温殺傷する治療法である。現在実施されている温熱療法においては体外からラジオ波をあて、体組織のわずかなラジオ波の吸収の違いを利用して加熱しているため、体表面が過熱されすぎたり、正常組織も加熱されるなどの問題点があり、深部の腫瘍や小さな腫瘍のみを効果的に治療できる方法ではない。我々はマグネタイト微粒子をカチオン性のリン脂質で被覆し、場合によっては癌細胞に対する特異的な抗体を固定化したリポソームを作製する技術を開発した。このマグネタイトカチオニックリポソーム(MCL)は癌細胞に特異的に吸着することを見いだした。この磁性微粒子の集積のために腫瘍組織の磁気的特性がわずかながら変化する。したがって、磁気共鳴画像診断(MRI)の造影剤として有用であり、小さな腫瘍組織も診断しやすくなることを見いだした。また、電磁波の吸収が体組織より優れるために、腫瘍組織のみを選択的に加温でき、誘導加温による温熱療法を効果的に実施するのに優れた材料であることを認めた。そして、この加温によって温熱免疫が誘導されることを見いだした。これは転移癌も治療できる可能性を示したものであり、大変注目される。また、速い血流のために腫瘍組織が45℃程度まで加温できない場合には、リポソームに化学薬剤や遺伝子を包埋して、化学療法や遺伝子治療との併用治療が期待できることを明らかにした。
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