研究概要 |
1)C-F結合の活性化:金属マグネシウムにより、π-電子系に結合したトリフルオロメチル基よりフッ素1個を選択的に脱離させ、ジフルオロメチレン化合物又はジフルオロ-トリメチルシリルメチル化合物に変換する方法を開発した。特に、トリフルオロメチルケトン、同イミンならびにビストリフルオロメチルベンゼンから各々ジフルオロエノールシリルエーテル(1)、ジフルオロエナミンミン(2)ならびに4-トリフルオロメチル-1,1-ジフルオロベンジルトリメチルシラン(3)を高収率で合成した。 反応は、2当量の金属マグネシウム、4-当量のTMS-Clを用い、0℃で30分以内で終了する効率の良い反応と言える。この方法の開発により、フッ素化ビニロンの合成、耐熱性コーテング材、フッ素化パーアリレンポリマーの実用的合成方法が可能になったので、今後、企業との共同研究に入る予定である。 2)光学活性含フッ素アミノ酸の合成:3,3,3-トリフルオロ2-2-イミノプロピオン酸エステルをパラジウム触媒により不斉水素化することに成功した。水素化溶媒としてトリフルオロエタノールが有効であることを見い出したので、今後この溶媒をさらなる応用展開と、各種含フッ素アミノ酸の不斉合成を進展させる。 3)含フッ素アルキルα-ジイミンの合成:重合触媒としての活用が期待できる、新規トリフルオロならびにペルフルオロアルキル-α-ジイミンのパラジウム触媒による新規合成法を開発したので、このジイミンの触媒としての応用展開を実施する。
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