研究概要 |
不飽和炭素環を面性支持配位子とするルテニウム(II)錯体を触媒とする1,6-ヘプタジイン類の窒素または酸素官能基をアリル位に有するアルケン類に対する新規[2+2+2]付加環化を開発した.この変換によって得られる生成物は,1,3-シクロヘキサジエン骨格を有しているため,Diels-Alder反応のジエン成分として合成化学的に有意義である.さらに,この変換の反応場を分子設計し,インデニル基を面性支持配位子として導入することによってドミノ化させることに成功し,高次化された1,6-ヘプタジイン類と2分子のノルボルネンおよびその類縁体,またはN-フェニルマレイミドとの立体選択的な4成分一段カップリング,すなわち[2+2+2]/[4+2]形式の斬新な付加環化反応を開発した.この変換は剛直な分子骨格構築の新たな手法となりうる. 4核ロジウムカルボニルクラスターを触媒に用いる,アミノアルキン類のヒドロシランと一酸化炭素を反応剤とした,三成分一段カップリングによる4〜8員環のα-シリルメチレンラクタム骨格構築法を開発した.アミン部位にピロリドン誘導体またはピペリジン誘導体を導入することによって橋頭位に窒素原子をもつアルカロイドの基本骨格とみなしうる複素ビシクロ環構築にも成功した.さらにこの変換を,アルキニルアルコール誘導体からのα-シリルメチレンラクトン合成および分子間のアルキン/ヒドロシラン/一酸化炭素/ビロリジンの4成分一段連結法へ拡張した. ロジウム(I)ホスフィン錯体とヒドロシランから調製したロジウム(III)錯体が,1,6-ヘプタジイン類の環化ヒドロシリル化の触媒として有効であり,選択的にDiels-Alder反応のジエン成分として合成化学的に有用な1,2-ビス(エキソメチレン)シクロペンタン誘導体を生成することを明らかにした.
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