研究概要 |
発達したπ共役系を主鎖骨格とし、その側鎖に安定なラジカル基を共役して結合させた直鎖、星型、多分岐型のπ共役高分子ポリ(フェノキシル置換フェニレンビニレンおよびエチニレン)を、モノマー頭-尾結合と側鎖置換基位置を厳密(100%)非ケクレ型で制御して精密合成、これらポリラジカルで重合度および擬2次元構造に相関して協同的に働くスピン整列を実証することを目的として、第1年次は次の成果を得た。 (1)2-臭化-4-アセトキシフェニルスチレンをコアである三ヨウ化ベンゼンあるいはトリス(3,5-ニヨウ化フェニル)ベンゼン存在下でPdホスフィン触媒により縮重合し、全共役、星型ポリ(4-アセトキシフェニル-1,2-フェニレンビニレン)を得た。また、2,6-ジブロモ-4-アセトキシフェニルスチレンの重合から多分岐ポリ(4-アセトキシフェニル-1,2-(6)-フェニレンビニレン)を合成した。頭-尾結合、分岐などのポリマーの一次構造を確認した。 (2)吸収スペクトル、三次光非線形感受率などの測定から、共役系の特徴を描像した。前駆ポリマーをフェノラート塩に定量的に変換し、酸化してフェノキシラジカルを発生させ、クーロン測定などから90%近いラジカル発生を定量した。 (3)上記の新しい、星型、多分岐高分子ラジカルおよび直鎖型をSQUID低温(2K〜室温)磁気測定、スピン整列数(現時点の最高値 S=9/2)を得た。多スピン系モデルを適用して強磁性スピン交換相互作用定数(J)を例えば30cm^<-1>と算出した。現在、パルスESR分光法により各S成分の分率を直接決定する手法を検討している。
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