研究概要 |
発達した共役系を主鎖骨格とし、その側鎖に安定なラジカル基を共役して結合させた「共役主鎖ラジカル側鎖の非ケクレ型高分子」を、ポリ(フェニレンビニレン)を主な骨格として、頭-尾結合と側鎖置換位置を厳密に制御して精密合成、これらポリラジカルで、重合度および擬2次元構造に相関して協同的に働くスピン整列を実証することを目的とした。 (1)側鎖ラジカル部位として新たにジメトキシおよびジ-t-ブチルフェニルアミニウムカチオンラジカルを取り入れ、ポリ(4-アミニウム-1,2-フェニレンビニレン)を合成した。室温でも高いスピン量子数Sおよび取り扱い易い安定性をもつはじめての高分子として実証した。 (2)FTパルスESR Nutation分光によりスピン整列数を平均値のみらず各S成分の分率として決定するための試料条件を明らかにした。 (3)以上3年間の知見を整理して、高分子の共役構造、重合度、次元性とスピン整列数、協同的な相互作用力増大としてまとめた。単一高分子での超高スピン状態の創出、すなわち「高分子磁石」の実現の手順を考察した。
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