研究課題/領域番号 |
09305062
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 仁史 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80026004)
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研究分担者 |
松本 幸三 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90273474)
松岡 秀樹 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40165783)
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キーワード | 両親媒性高分子 / 疎水性相互作用 / 高分子ミセル / 小角散乱 / 高分子単分子膜 |
研究概要 |
ケイ素、あるいはフッ素を有する新規な両親媒性高分子について、親水性および疎水性相互作用などポリマーの分子会合に影響を与える諸因子を詳細に調査した。ポリシラシクロブタン(SB)を疎水性の主鎖、ポリオキシエチレンを親水性の側鎖とする櫛形ポリマーは、水およびメタノール溶液中で会合せず、単分子状態で溶解していることがX線および中性子小角散乱により確認された。一方、SBを疎水鎖、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を親水鎖とする1:1ブロックポリマーやポリスチレンを疎水鎖、ポリヒドロキシメチルシラシクロブタンを親水鎖とする1:1ブロックポリマーは、メタノール等の高極性溶媒中では、疎水鎖をコア、親水鎖をシェルとしたミセルを形成するのに対して、トルエン等の非極性溶媒中では、親水鎖をコア、疎水鎖をシェルとした逆ミセルを形成することがX線小角散乱により示された。また、SBとHEMAの1:1ブロックコポリマーが水表面で均質で安定な単分子膜を形成することを表面圧測定とX線反射率測定により明らかにした。さらに、側鎖にフッ素を有するブロックコポリマーが水中で形成するミセルは、フッ素を含む疎水性色素を選択的に取り込むことを見出した。本研究により、両親媒性高分子の溶液中あるいは気・水界面での会合挙動が、ポリマーの化学構造や疎水:親水鎖長非、および溶媒の極性に強く依存することが解明された。これらの知見は、疎水性相互作用の定量化にとって極めて有力な情報である。また、本研究で示されたフッ素化ミセルの性質は、従来の親水性、疎水性だけでは説明できないことから、「フッ素親和性」という新たな概念を提案するに至った。
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