研究課題/領域番号 |
09306001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 芳雄 北海道大学, 農学部, 教授 (70109528)
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研究分担者 |
金澤 章 北海道大学, 農学部, 助手 (30281794)
犬飼 剛 北海道大学, 農学部, 助手 (90223239)
貴島 祐治 北海道大学, 農学部, 助教授 (60192556)
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キーワード | ジーンプール / イネ / 生殖隔離機構 / 種分化 / 交雑親和性 / 雑種不稔 / 遺伝子クローニング |
研究概要 |
イネのジーンプール形成機構として重要な生殖的隔離機構の遺伝解析を行った。まず、開花期の遺伝的差異を取り上げた。第6染色体短腕上に座乗する感光性遺伝子Se1は、地域に適した成長期間を規定する役割をもつ。強感光性のインド型品種から、第6染色体短腕部位を戻し交雑によって弱感光性系統に導入して解析した。その結果,この領域には、Se1座の他に少なくとも2つの劣性遺伝子が存在する複合遺伝子座であることが判った。その一つは、発育特異的に日長効果を変更した。また、花粉管伸長抑制による受精前隔離機構をイネで初めて見いだした。日本イネに不親和性遺伝子を戻し交雑により導入するために交雑を継統している。交雑後の隔離機構として、雑種胚退化現象と雑種不稔の遺伝解析を行った。交雑後の種子退化を引き起こす不親和性は、3つの遺伝子により決定されており、いずれも第6染色体短腕上に座乗することは既に報告した。今年度は分子マーカーにより座乗位置を調査し、雄側反応遺伝子が動原体近傍に存在することを明らかにした。雑種不稔については、もち遺伝子(wx)に連鎖する不稔遺伝子(S10)を単離するための実験を継続した。S10遺伝子はwx座より0.15cMと極めて近傍にマップされる。wx座変異体は第2エキソンに変異を持ち座内組換えが0.14cMにおよぶので、S10候補領域はwx座上流と予測された。イネシモキタ由来のBACライブラリーよりwx遺伝子を含む合計約320kbのコンティグを構築しし、Hind IIIの物理地図を作成した。全Hind III断片を60サイトに分け分析したところ、シングルコピー領域から反復領域までの4つのパターンに分類できた。コンティグ内には、12箇所合計72kbのシングルコピー領域が存在し、反復領域は全体の約70%260kbに及ぶことを明らかにした。遺伝的距離から候補を選んで配列を決定したところ、その領域はウィルスと相同性をもち、系統間で高度に多型的であった。さらに、両親の葯よりcDNAライブラリーを作成し、両者の比較からS10候補領域を探索している。
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