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1997 年度 実績報告書

植物の性の決定分化制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 09306006
研究種目

基盤研究(A)

研究機関京都大学

研究代表者

大山 莞爾  京都大学, 農学研究科, 教授 (40135546)

研究分担者 福澤 秀哉  京都大学, 農学研究科, 助教授 (30183924)
キーワードゼニゴケ / 性染色体 / PAC / FISH / EST
研究概要

ゼニゴケは、雌雄で構造の異なる性染色体を保有する半数体であることから、性分化の過程を分子生物学的に解析するのに最適な植物である。本研究は、植物の性分化決定機構を解明するために、ゼニゴケをモデル植物として、生殖器官の分化に関与する遺伝子を単離・同定し、その構造と機能及び発現様式を明らかにすることを目的とした。
ゼニゴケ葉状体プロトプラストから調製した高分子量DNAを用いてP1ファージ由来人工染色体(PAC)ゲノムライブラリーの作成を行った。100kb程度のインサートを持つクローンが、雄・雌について、それぞれ約4万個・約3000個得られた。少なくとも雄に関しては、ゲノムのほぼ全域をカバーするに足るクローン数が得られたことになる。
ゼニゴケ雌株培養細胞およびゼニゴケ18SリボソームRNA遺伝子を含むPACクローンを用いて、(1)染色体サンプルの調製、(2)プローブDNAの標識、(3)ハイブリダイゼーション、それぞれの条件について最適化を行った。まず、染色体が最も容易に観察できる細胞分裂中期にある細胞をより多く得るための細胞周期同調処理条件を検討し、新しい培地に植え継いで3日目に8-キノリノールを加えるか、新しい培地に植え継いだ翌日に使用すれば良いことが分かった。植物細胞の場合、染色体を明瞭に観察するためには細胞壁を除く必要があるため、細胞壁を除去しつつも染色体に損傷を与えないプロトプラスト化条件を検討・決定した。ゼニゴケ18SリボソームRNA遺伝子は数百コピーからなるクラスタとして存在することが知られている。この遺伝子を含むPACクローンを用いてFISHを行うと、常染色体の1つの先端部分に明確なシグナルが得られた。
ゼニゴケ雌性生殖器官由来のcDNAライブラリーより無作為に抽出された1017クローンの部分配列を決定した。得られたExpressed Sequence Tags(ESTs)を解析し、ゼニゴケ雌性生殖器官における遺伝子発現のパターンを明らかにした。塩基配列・アミノ酸配列データベースに対する相同性検索の結果、ゼニゴケESTsのうち約54%は既知の配列と有意な相同性を示さず、残りの約46%は既知の配列と相同性を示した。後者のうち、約80%は既に機能が明らかにされている遺伝子と高い相同性を示した。タンパク質遺伝子と相同性を示したゼニゴケESTsについて、同定もしくは予測されている機能別に分類すると、ゼニゴケ雌性生殖器では他の植物種や組織と比べて遺伝子発現に関わる遺伝子(転写因子、リボソームタンパク質等)の比率が高いことが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Akashi et al.: "Accumulation of nuclear-encoded tRNA^<The>(AGU) in mitochondria of the liverwort Marchantia polymorpha." Biochem.Biophys.Acta. 1350. 262-266 (1997)

  • [文献書誌] Kobayashi et al.: "Interorganellar gene transfer in bryophytes : the functional nad7 gene is nuclear encoded in Marchantia polymorpha." Mol.Gen.Genet.256. 589-592 (1997)

  • [文献書誌] 大山莞爾: "ゼニゴケの性染色体ゲノムの解析" バイオサイエンスとインダストリー. 第55巻. 613-614 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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