研究概要 |
(1)発育段階(幼木と成木)と生育場所(林内と林外)の異なるオオモミジの樹体内各組織のフェノロジーの変化につれて昆虫の食物条件がどのように変化するかを調査し,樹木の食物条件が気候との関連で個体群動態に与える影響を解析するための試料採取を行った。(2)気候条件とフェノロジーおよびアブラムシの個体群動態に関する1982年からの16年間の調査資料の解析にとりかかった。この期間はいわゆる異常気象を頻繁に観測した時期にあたるため,その観点からの解析を行っている。(3)モミジニタイケアブラムシについて,個体群動態に関する調査を継続した。とくに,土壌条件との関連を明らかにするため,苗木上での飼育を開始した。(4)食葉性害虫であるマツカレハの大発生が樹木に与えた影響を解析するなかで,大発生に与える気候条件の影響を考察した。(5)酸性雨が樹木に与える影響が昆虫類の食害にともなってどのように変化するかを,マツとマツカレハについては実験的に解析している。(6)酸性雨が土壌動物に与える影響を実験的に解析し,昆虫類の捕食者には著しい影響を与えないことを明らかにした。
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