研究課題
基盤研究(A)
水中貯木処理によって乾燥性や物質注入性が改善されるメカニズムを科学的に追求し、それを応用したエコロジカルかつエコノミカルな加工前処理技術を開発することを目的に、以下の項目を検討した。(1)水中貯木中に作用すると予想される微生物の、木材中での動態を生態的に観察するために、伐倒直後のスギ樹皮付丸太(直径約30cm、長さ1m)をpH7-9程度の淡水池に浸漬した。これを所定期間毎に取り出して、木材中に生存する細菌類を無菌的に分離した。分離した細菌については常法に従って、その存在数、グラム染色性などを調査した。正常な辺材および心材ともに、立木時には材中にバクテリアが存在せず、水中貯木開始とともに辺材、移行材にはすみやかに侵入することが明らかになった。このとき、貯木池中に存在する数種類のバクテリアのうち1〜2種が侵入するにすぎず、その選択性が何に起因するのかを追跡中である。また、侵入菌種のサクセッションの兆候が認められるが、この詳細をも検討中である。今後、実験室的規模も含めて、バクテリア種の同定、木材細胞の形態変化に与える影響を検討する予定である。(2)水中貯木による乾燥性の改善効果を確認するために、伐倒直後のスギ樹皮付丸太(直径約30cm、長さ3.65m)を淡水池に貯木した。これらを6ヶ月毎に取り出して製材し、水中貯木期間と水分透過性との関連を確認するとともに、乾燥速度、水分傾斜などの乾燥性についても確認する。また、水中貯木処理の簡易的方法として散水貯木処理を行い、同様な点を検討する。
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