研究課題/領域番号 |
09306014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伏谷 伸宏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012010)
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研究分担者 |
渡部 終五 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40111489)
池上 晋 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80011980)
唐木 英明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60011912)
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60183951)
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キーワード | 水圏無脊椎動物 / 海綿 / ホヤ / 細胞毒性 / 平滑筋 / ヒトデ胚 / リン酸化 / 酵素阻害 |
研究概要 |
前年度に引き続き、日本各地で採集した海洋無脊椎動物のスクリーニングおよび活性物質の単離・構造決定を行うとともに、主な化合物について作用機序の解析を行った。その概要は以下の通りである。 1.新規活性物質の単離・構造決定 奄美大島産の未同定群体ホヤから、マウス白血病細胞に細胞毒性を示すamaminol AおよびBと命名した新規環状アミノアルコールを単離・構造を決定した。 2.作用機序の解析 海綿より得られた環状ペプチド、discodermin Aは、平滑筋細胞などの細胞膜の膜透過性を高めることにより、その活性を発現することが判明した。また、海綿由来のポリアセチレンアルコール、petrosynolは電位依存性L型カルシウムチャンネルを抑制して平滑筋に対して収縮作用を示すことが分かった。一方、環状ペフチドtheonellamideAは、ステロイドデヒドロゲナーゼおよびグルタミン酸デヒドロゲナーゼと親和性を示した。一方、theonellamide Fはグルタミン酸デヒドロゲナーゼによるα-ケトグルタミン酸の還元反応を促進した。 3.イトマキヒトデ胚の発生に作用する物質の探索と作用機序解析 Rhopaoeides属海綿から得られたrhopaloic acid Bは、原腸形成を阻害するが、これはタンパク質リン酸化酵素Cの阻害によることが明らかとなった。さらに詳細に検討したところ、核タンパク質のNAAPの144位セリン残基が卵成熟過程でリン酸化され、その後構成的にリン酸化され続けた。最終的に、発生の進行と停止にともない、リン酸化状態のサイクルがどのように変化するかをモニターできる系が確立できた。
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