研究分担者 |
谷口 幸雄 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10252496)
山田 宜久 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40253207)
守屋 和幸 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (90159195)
三宅 武 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00271015)
|
研究概要 |
肉牛の重要な形質である脂肪交雑の形成には筋肉組織内での脂肪細胞分化と脂肪蓄積が重要である。この脂肪蓄積の分子機構を解明するために、分子遺伝学および統計遺伝学の両方からのアプローチを行った。 分子遺伝学的アプローチとして、以下の4つの研究を行った。 1.脂肪細胞分化の抑制因子であるウシPref-1AアイソフォームcDNAを単離した。既に単離しているC2とAの双方を培養細胞に遺伝子導入し強制発現させ、組換えタンパク質に対して作製した抗血清が培養細胞由来の両アイソフォームタンパク質を認識することを確認した。 2.ビタミンAレセプターであるウシRARおよびRXRα,β,γの6種類のcDNAをクローニングした。 3.遺伝子導入実験によりウシobese遺伝子の発現が転写因子C/EBPα,β,δにより誘導されることを明らかにした。 4.昨年に引き続き、脂肪細胞分化の制御に関わる因子ウシC/EBPα,β,δPPARγおよびPref-1に対する抗血清およびアフィニティー精製した抗体を用いて筋肉組織の免疫染色を行い、これらの遺伝子の発現を解析した。 統計遺伝学的アプローチとして、Gibbs samplingを用いた混合遺伝モデルのベイズ推定法に基づき、肉牛の脂肪交雑に影響を及ぼす効果の大きなQTLの検出法について検討を行った。前年度までに開発したQTL検出のための混合遺伝モデル遺伝解析プログラムを用いて、兵庫県黒毛和種和牛集団の脂肪交雑、皮下脂肪厚、枝肉重量、ロース芯面積、バラ厚に関する枝肉記録の統計解析を行った。その際、分析対象個体のサンプリングを20回繰り返してQTL分散を推定したところ、特に脂肪に関連する形質(脂肪交雑および皮下脂肪厚)において、大きなQTL分散を示すサンプル集団が得られた。ただし、最も高いQTL分散を示すサンプル集団は両形質間で異なっており、脂肪蓄積の機構が、脂肪交雑と背脂肪厚で異なっていることが示唆された。
|