研究課題
1)1999年春に、越冬地である石垣島でサシバの生息・分布調査を実施し、同時に同地からサシバ6個体の衛星追跡を行なった。衛星追跡の結果、渡りは島を中継地として利用し、休息と移動を繰り返す様式であることがわかった。採食やねぐらには、森林よりも農耕地を利用することが多かった。繁殖地や渡りの中継地とは違って越冬地でまとまった林を必要としないのは、越冬地では営巣木のある林が必要なく、また捕食者などの危険が少ないので避難場所としての林が重要ではないためではないかと考えられた。2)前年度に引き続き、我々が開発した指数CONを用いて日本列島における森林連続性の評価を行った。日本列島を9地方に区分し、それぞれの森林グレッド率と指数CONを比較した結果、各地方における森林の空間的な分布特徴が明らかになった。とくに中国地方における森林分断化が示唆された。また指数CONと自然地理的要因のオーバーレイを行った結果、森林連続性は地形的要因の影響を強く受け、とくに山地を中心として、開発圧の低いところに連続的に分布していることが示された。3)兵庫県・氷ノ山地域生息するニホンツキノワグマを対象として、ラジオ・テレメトリ調査を行い、その生息位置を把握した。すなわち1998年および1999年の2年間、それぞれオス1頭、メス1頭に発信器を装着し、1ヶ月に連続72時間の追跡調査を行った。さらにGISを用いた解析によりその行動圏と生息環境を解析した。その結果、ツキノワグマの季節ごとの生息地、行動パターン、生息地における植物群落、移動距離、行動圏等が明らかにされた。
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