研究課題
1)2000年3月10日に金華山島において、当地に生息するニホンジカ雌1頭(トモコと命名)を捕獲し、外部計測後、捕獲地の約2km南に移動してGPS首輪を装着し、放逐した。GPS首輪は、ドロップオフ装置が不調であったため、4月24日に麻酔銃でトモコを再捕獲して回収した。この間に記録されたデータは、ホストコンピュータにダウンロードされ、270回の測定のうち、181点の位置が推定され、そのデータ取得率は67%であった。GISを用いて、得られた位置データとデジタル植生図を重ね合わせることにより、トモコの利用した植生を知ることができた。野生動物に装着されたGPS首輪データの回収は、おそらく日本で初の事例であり、また世界的に見ても小型シカ類に装着した事例はほどんどない。2)2000年7月16日に埼玉県にある東京大学秩父演習林内で、当地に生息するツキノワグマ雄を捕獲し、外部計測後、GPSを装着して放逐した。10月25日に発信器を回収した。活動センサの値がゼロになった7月23日にGPS首輪は脱落したと推定された。この間の測位回数は、1時間間隔で174回であった。そのうち測位が成功したのは91回で、データ取得率は52%であった。3)2000年7月25日に兵庫県氷ノ山において、当地に生息するツキノワグマ雄を捕獲し、外部計測後、GPSを装着して放逐した。GPS首輪の発信音の変化(モータリティの作動)が8月8日に確認されて以来、波源に移動がなく発信器が脱落したと考えられたが、8月26日に発信器を回収した。回収された緯度経度データから8月2日か3日頃にGPS首輪は脱落したと推定された。この間の測位回数は、4時間間隔で49回であった。そのうち測位が成功したのは29回で、データ取得率は59%であった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)