研究課題/領域番号 |
09306025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆造 京都大学, 農学研究科, 教授 (60077378)
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研究分担者 |
安田 佳子 近畿大学, 医学部, 教授 (10025629)
増田 誠司 京都大学, 農学研究科, 助手 (20260614)
永尾 雅哉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10237498)
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キーワード | エリスロポエチン / 神経細胞死 / 虚血 / 神経栄養因子 / 低酸素 / 血管新生 / エストロゲン / 子宮 |
研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)は赤血球造血に特異的に作用するホルモンと考えられてきたが、脳内でも産生され神経栄養因子として作用すること、また子宮でもエストロゲン刺激で産生が誘導され、性周期に伴う子宮内膜の肥厚の際の血管新生に関与する事を我々は発見してきた。 今年度は、神経系において実際にin vivoでEPOが神経栄養因子として作用することを以下のような実験で示した。即ち、高血圧自然発症ラットを用いて、EPOを投与することにより、虚血による空間認識不全を軽減できることを水迷路実験で示した。また、in situ hybridizationによって大脳皮質閉塞部の辺縁部でEPO受容体のmRNAの発現誘導が確認できた。これらの結果から、閉塞によってダメージを受けた部位が広がらないように、EPOによって神経系の保護が行われていると考えられた。 また、子宮におけるエストロゲン依存性エリスロポエチン産生について更に詳細に研究を行った。即ち、内因性エストロゲンを枯渇させるため卵巣を摘出したマウス(OVXマウス)を用いて、エストロゲン投与により子宮内のEPOmRNAが誘導されることを確認した。また、エストロゲンの効果が一過的なのはエストロゲンに対する脱感作によることが示唆された。EPOの主な産生制御因子は酸素であり、EPOの主要な産生臓器である腎臓では酸素によるEPOmRNAの発現誘導が見られるが、エストロゲンによる誘導は殆ど見られなかった。一方、子宮では逆にエストロゲンによるEPOmRNAの誘導は顕著であるが、低酸素による誘導は殆ど見られないことから、子宮で峰異なるEPO遺伝子の発現調節機構が存在することが示唆された。また、卵管においてもエストロゲン依存性のEPOmRNAの発現誘導が観察された。
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