研究課題/領域番号 |
09307003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡山 博人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40111950)
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研究分担者 |
田中 晃一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90282615)
神野 茂樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10251224)
永田 昭久 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50155933)
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キーワード | 分裂酵母 / 細胞周期 / S期開始 / ORC / MCM / ストレス適応 / DNA複製 |
研究概要 |
分裂酵母とラット線維芽細胞を用いて細胞周期の開始制御機構の解明を進めている。一昨年度、動物細胞の細胞周期の開始に必須なCdk4キナーゼが、チロジン残基のリン酸化・脱リン酸化によって制御されていることを見いだした。チロジンリン酸化によるCdkの制御は、元々分裂酵母でG2-M遷移を制御するCdc2キナーゼで明らかにされた機構で、DNA複製およびDNA損傷のG2期チェックポイント制御の要となる機構である。その後、この機構は哺乳動物まで広くG2-Mの遷移制御に使われていることが判明した。Cdk4のチロジンリン酸化制御が、G2-Mと同じようにDNA損傷のG1期チェックポイント制御に係わっていることをこれまでに明らかにしたが、今年度はチロジンリン酸化されたCdk4を特異的に検出する抗体を見いだしこの抗体を用いて解析したところ、Cdk4のチロジンリン酸化が専らG0-G1の遷移のチェックポイント制御に係わっていることが明らかになった。 一方、分裂酵母の新規のS期制因子を同定した。spt1と名付けたこの因子の破壊株は、S期の開始と進行に遅延が見られるが、この酵母にあるspt1ホモログのspt2との二重破壊株は致死となる。さらに、spt1の破壊株は、いろいろなストレス(熱、高塩、DNA損傷、UV等)に対して適応できず、増殖開始の著しい遅延がみられる。この因子は、DNA複製開始複合体のいくつかの構成因子と遺伝学的物理的相互作用を示すことから、これまで全く未知の領域であった細胞増殖のストレス応答の機構を解明する突破口となると期待される。
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