研究課題/領域番号 |
09307005
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 美之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20022874)
|
研究分担者 |
田川 ?優子 (坂井 優子) 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (40178538)
加藤 篤 国立感染症研究所, (研究職)室長 (40152699)
塩田 達雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00187329)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
キーワード | センダイウイルス / 遺伝子操作 / アクセサリー遺伝子 / 病原性 / 転写制御 / ベクター化 / 異種遺伝子発現 |
研究概要 |
1996年に、非分節型マイナス鎖RNAウイルスのひとつであるセンダイウイルスをcDNAから生成する技術を確立した。本研究は、この技術を用いて、センダイウイルスゲノムに様々な、任意の改変(遺伝子操作)をおこない、ウイルスのシスおよびトランス作働性因子の複製と病原性発現への貢献度を正確に評価することならびにセンダイウイルスの異種遺伝子発現のためのベクターとしての可能性を追求することを目的とした。ノックアウトウイルスの回収と性状解析により、これまで全く機能が不明であったふたつのアクセサリー蛋白VとCは、それぞれ、自然宿主であるマウスの肺内のウイルス荷を高く維持すること、タイプIインターフェロンの抗ウイルス作用に対抗することにより、病原性発現に必須の役割を演ずることを明らかにした。C蛋白は、さらに、非構造蛋白であるにもかかわらず、ウイルス構成蛋白の成熟粒子への組織化に必須であった。さらに、各遺伝子の先頭と末尾に配されている転写開始と終結のシグナルを同定するとともに、微妙な塩基配列の違いにより、ウイルス転写はエンベロープ遺伝子の直前で減衰するよう調節されていることを明らかにした。この他に、マトリックス蛋白のリン酸化の意義などこれまで未解決であった数々の問題が、本遺伝子操作技術により決着をみた。センダイウイルスに挿入された異種遺伝子は比較的安定に保持され、ほ乳類培養細胞での発現量は、例えば、HIV-1のgp120で6mg/Lに達し、事実上、最高位であった。これまでのところ、15.3kbのウイルスゲノムに少なくとも3.2kbまでの異種遺伝子の挿入、発現が可能であった。また、神経細胞などの非分裂細胞への遺伝子導入も可能であった。エンベロープ蛋白の一つを欠損させ、それをトランスに供給することにより、二次伝播能を失った、より安全性の高いセンダイウイルスベクターの構築にも成功した。以上により、センダイウイルスは将来、有用な新規のウイルスベクターとして用いうることが示唆された。
|