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1998 年度 実績報告書

分子レベルでのヒトT細胞サーキットの制御機構とその臨床的意義の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09307009
研究機関東京大学

研究代表者

森本 幾夫  東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)

研究分担者 河崎 寛  東京大学, 医科学研究所, 助手 (80280957)
細野 治  東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
キーワードCD4ナイーブT細胞 / CD4メモリーT細胞 / CD26 / DPPIV酵素 / RANTES / SDF-1α / HIV感染 / リンパ球遊送
研究概要

我々はCD4ナイーブ及びメモリーT細胞機能の鍵となる表面分子のCD27,CD26分子に焦点を当てて、これら分子のヒトT細胞サーキットの制御機構を明らかとすることを目的としている。今回はCD26分子の免疫調節制御機構についての成果を報告する。CD26分子はメモリーT細胞に選択的に発現され、N末端から2番目のプロリンのC末端側ペプチド結合を切る酵素であるDPPIV酵素活性を含んでいる。ケモカインの多くはN末端から2番目がプロリンであることからCD26/DPPIVの基質と成りうる。そこで、CD26/DPPIVとケモカインの相互作用がリンパ球遊走及びHIV感染に及ぼす影響を検討した。
野生型可溶性CD26(DPPIV+)の存在下でRANTESによるT細胞の遊走が増加した。しかし変異型可溶性CD26(mCD26)では遊走亢進は認められなかった。このようにCD26/DPPIVはRANTESによるT細胞の遊走を亢進させた。RANTESとsCD26を反応させ、アミノ酸配列を検討したところN末端の2番目のプロリンのところで切断された。RANTESとCD26/DPPIVとの相互作用のM-tropicウイルスの細胞侵入における影響については、RANTESのみの場合と比較して抑制作用の変化は認められなかった。
RANTES同様にSDF-1αとsCD26を反応させ、アミノ酸配列を検討したところ、N末端の2番目のプロリンのC末端側で切断された。この様にRANTES,SDF-1αともにCD26/DPPIVの基質であることが明らかになった。SDF-1αとCD26/DPPIVの相互作用がT-tropicウィルス感染における影響を検討した。SDF-1αによるHIVの細胞侵入の阻害はsCD26を添加することによりその阻害活性は失われた。さらに、リンパ球遊走能の亢進作用も消失した。この様にCD26/DPPIVはin vivoにおいてHIV感染や炎症反応を制御する分子として重要であることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Shioda T: "Anti-HIV-1 and chemotactic activities of human stromal cell-derived factor 1α (SDF-1α) and SDF-1β" Proc.Natl.Acad.Sci.USA.95. 6331-6336 (1998)

  • [文献書誌] Agematsu K: "Generation of plasma cells from peripheral blood memory B cells : synergistic effect of IL-10 and CD27/CD70 interaction." Blood. 91. 173-180 (1998)

  • [文献書誌] Akiba H: "CD27, a member of the tumor necrosis factor receptor superfamily, activates NF-kB and atress-activated protein kinase 10-jun N-terminal kinase via TRAF2, TRAF5, and NF-kB inducing kinase." J.Biol.Chem.273. 13353-13358 (1998)

  • [文献書誌] Dong R-P: "Correlation of the epitope defined by anti-CD26 mAbs and CD26 function." Mol,Immunol. 35. 13-21 (1998)

  • [文献書誌] Ohtsuki T: "Negative regulation of the anti-HIV and chemotactic activity of human stromal.cell-derived factor 1α by CD26/DPPIV." FEBS Letter. 431. 236-240 (1998)

  • [文献書誌] Morimoto C: "The structure and function of CD26 in the T-cell immune response." Immunol.Review. 161. 55-70 (1998)

  • [文献書誌] Iwata S: "CD26/DPPIV differentially regulates the chemotaxis of T cells and monocytes toward RANTES." Int.Immunol. (in press).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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