研究概要 |
家族性高コレステロール血症(Familial hypercholesterolemia,FH):ホモ接合体およびヘテロ接合体性FH症例350例においてPCR-DGGE法を用いてLDL-レセプター(LDL-R)遺伝子異常を検討した。FH患者において,変異K790Xは20.9%と高頻度に認められ,北陸地方のFHにおけるcommon mutationと考えられた.われわれが見出したLDL-R遺伝子変異の合計11種のLDL-R遺伝子変異により,北陸地方のFH患者の38.8%が解明された. MTP欠損症(無βリポ蛋白血症):MTP欠損症患者の空腸生検から得たRNAをRT-PCRにて増幅し全長MTPcDNAを得た。発端者はイントロン9スプライスアクセプターG(-1)-to-A変異のホモ接合体であった。HinfI制限酵素によるPCR-RFLPの結果,母、妹、母方祖父は同変異のヘテロ接合体であったが、父および父方祖父母は正常型であった。STR多型マーカー解析でMTP遺伝子(4q22-24)を含む患者染色体4q21-35の領域は、母由来の染色体のみから成るイソダイソミーであった。その結果、uniparental disomy(UPD)という希な遺伝形式によることが判明した。 Tangier病:HDL-Cが極端に低下し、特徴的な扁桃肥大や動脈硬化を伴うTangier病は本邦では10例もない希な遺伝疾患である。1999年本疾患の成因はABC1遺伝子異常による細胞内のコレステロールの排出障害であることがNature Genetics 22:336,1999に報告された。われわれの3症例においても本邦で初めてABC1遺伝子異常が確認され、エクソン18のA2743CとN875H変異であった。
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