研究課題/領域番号 |
09307014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
荒川 規矩男 福岡大学, 医学部, 教授 (90078783)
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研究分担者 |
笹栗 学 福岡大学, 医学部, 講師 (00178675)
浦田 秀則 福岡大学, 医学部, 講師 (30289524)
出石 宗仁 福岡大学, 医学部, 助教授 (20131807)
野田 慶太 福岡大学, 医学部, 講師 (70289536)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 組織レニン・アンジオテンシン系 / キマーゼ / アンジオテンシン変換酵素 / 心血管病 / 動脈硬化 / 高血圧 / 心筋梗塞 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1.ヒトキマーゼの病態生理学的役割解明に有用な動物モデルの作成。 1-(1)ハムスターを用いた疾患モデルでの検討。 実験動物を選択するため各種動物の心、肺、大動脈のアンジオテンシンII産生能を検索したところ、酵素学的にも臓器特異性もハムスターが最もヒトに近いモデルであることが判明し(Akasu et al.1998)、その後の実験をハムスターで行った。ハムスターに2腎1クリップによる高血圧を惹起したり、高コレステロール食を負荷すると組織キマーゼ活性やmRNAが増加し、しかもその増加の程度は組織リモデリングの程度と正相関を示した(Nakayama et al.1998,Uehara et al.1999,2000)。特に、高コレステロール食負荷後の大動脈キマーゼ活性は血清コレステロール値と正相関することを見い出した。 1-(2)ヒトキマーゼトランスジェニックモデルの作成(Koga et al.1999) 3つの独立したヒトキマーゼトランスジェニックラインが確立され、共通の異常発現型(痩羸、乏毛)を示した。機序の詳細は不明だが、痩羸は全身の脂肪組織の減少によっていた。モデルとしては全身性慢性炎症の病態と考えられ(Koga et al.1999,2000)、今後もその病態発現の機序について詳細な検討を加える予定である。 2.心血管病変におけるヒトキマーゼの病理生化学的分析 ヒト剖検組織の検討から動脈硬化病変(Ihara et al.1999)や心筋梗塞後組織内(Ihara et al.1998)のアンジオテンシンII(AngII)産生能が増加することが明かとなった。しかも冠動脈バイパス術の際に得られる動脈硬化に乏しい内胸動脈のキマーゼ活性は血清の総及びLDLコレステロール値と正相関した(Uehara et al.2000)。このことはキマーゼを介する組織Ang II産生は動脈硬化病変進展前より増加している可能性を示唆した。一方、これらの心血管組織におけるキマーゼ含有肥満細胞増加は血管でも心臓でも外膜側に有意であったことから外膜側でのキマーゼを介したAng IIの産生が各病態の組織リモデリングに関与することが示唆された(Hoshino et al.1999)。
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