研究課題/領域番号 |
09307018
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
洲脇 寛 香川医科大学, 医学部, 教授 (10033367)
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研究分担者 |
福井 義浩 徳島大学, 医学部, 教授 (50144168)
徳永 叡 岡山大学, 医学部, 教授 (40009634)
黒田 重利 岡山大学, 医学部, 教授 (00093683)
竹内 義喜 香川医科大学, 医学部, 教授 (20116619)
森本 清 香川医科大学, 医学部, 講師 (20166432)
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キーワード | アルコール依存症 / 分子遺伝学 / 海馬 / 大脳皮質 / 覚醒剤中毒 / 逆耐性現象 / 神経可塑性 / ドーパミン神経路 |
研究概要 |
アルコール関連脳障害の分子遺伝子学的研究については、アセトアルデヒドアダクトとの関連性、アポトーシスやサイトカイン関連遺伝子の関与、GFAPおよびc-fos遺伝子の脳組織周辺での強発現等が指摘された。さらに、大脳皮質や海馬CA3ニューロンでは核小体の径の減少、および海馬、大脳皮質、手綱核でのリン酸化型EF2(ペプチド伸張因子2)の顕著な減少により、これら領域で細胞の蛋白合成の異常が明らかになった。急性アルコール中毒におけるGFAPおよびCalbindinD28K免疫染色では、海馬や視交叉上核でグリア細胞のほうが神経細胞よりアルコールに対する感受性が高いとの所見が得られた。慢性アルコール依存症では、海馬のカルモジュリン依存性酸化酵素(CaM-kinase)および脱リン酸化酵素の関与について、CaM-kinase kinaseも同様CA3領域で発現性が低下したが、逆にCalcineurinでは亢進した。胎児アルコール症候群の研究では、胎児脳の大脳皮質で数か所の凹凸が存在し、脳軟膜下で異所性皮質の出現および軸索突起の構造の乱れが指摘された。 一方、覚醒剤中毒における逆耐性現象に関して、棘の増生や樹状突起の伸長という神経可遡性の研究が行われ、特にLong term potentiationの存在を遺伝子的に検索したところ、ARC geneの発現が前頭葉や帯状回の第I層およびIV層、海馬CA1領域、線条体にみられた。さらに、ドーパミン神経路に対する影響では腹側被蓋領域の電気刺激時に現われる行動異常、c-fos発現異常および側坐核や前頭葉皮質での電位変化について検索がなされた。 また、血管透過性の研究では、特に海馬外側部および尾状核・被殻に亢進域が認められ、血液脳関門という新しい見地から覚醒剤依存症に対する研究領域が開かれる可能性を示した。
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