研究課題/領域番号 |
09307021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292900)
佐々木 光 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282638)
本田 浩章 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40245064)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
三谷 絹子 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50251244)
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キーワード | 白血病 / 転写因子 / 増殖抑制因子 / Evi-1 / TGFβ / Smad3 |
研究概要 |
Evi-1は2つのclusterに分かれたzinc finger構造を持つ核内蛋白質をコードし、ヒトで染色体の3q26上に存在する。 Evi-1はマウスおよびヒトの正常骨髄細胞ではほとんど発現が認められないが、いくつかのヒト白血病において高発現をすることが知られ、Evi-1の高発現は造血細胞の悪性化に深く関与することが示唆される。TGFβは造血細胞を含めた種々の細胞の増殖を負に制御する代表的な増殖抑制因子である。Plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)およびp15遺伝子はTGFβにより発現が誘導される遺伝子であるが、Evi-1はTGFβによる両者のプロモーターの活性化を著明に抑制した。またTGFβは上皮細胞に対して著明な増殖抑制をかけるが、Evi-1を導入した上皮細胞はこのTGFβによる増殖抑制から逃れることを示した。以上のことからEvi-1はTGFβのシグナル伝達を特異的に遮断することが明らかとなった。さらに我々はTGFβ作用の抑制にはEvi-1の2つの領域が必要で、そのうちの一つは第1 zinc fingerdomainであることを明らかとした。この第1 zinc finger domainを介してEvi-1はTGFβの細胞内シグナル伝達分子のーつであるSmad3と結合することが判明した。その結合はTGFβの刺激によって増強し、Evi-1はTGFβによって活性化されたSmad3と主に核内で結合すると考えられた。Evi-1はSmad3によるPAI-1プロモーターの活性化も著明に抑制し、その抑制には第1zinc finger domainが必要であった。以上のことからEvi-1はSmad3を不活化することによってTGFβシグナル伝達を抑制すると考えられる。
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