研究概要 |
肝移植は先天性代謝異常(α 1-antitrypsin deficiency,Wilson's disease,hemochromatosis)や先天性凝固異常(von Willebrand's disease)に対しても施行されている。本研究は欠損遺伝子をコードしたvectorを肝移植手技を応用した生体内分離肝灌流法を用い、患者自身の肝臓に高率に発現させ肝移植と同様に肝臓での欠損遺伝子の発現:補充を目的としている。現在までの研究業績として、1.ex vivo法(体外遺伝子導入法)を用いた心臓移植片へのadenovirus vectorによるマーカー遺伝子(LacZ)の導入方法の検討において、心筋細胞の1-1.5%に遺伝子導入を認め、発現は10日間持続した。 2.体内肝灌流法(in situ perfusion)を用いた肝臓移植片へのadenovirus vectorのLacZの導入方法を検討し、経肝動脈投与において門脈域への有効な遺伝子導入効果を認めた。3.肝移植片におけるadenovirus vectorとretrovirus vectorの遺伝子導入を比較し、adenovirus vectorの遺伝子導入は2〜14日まで認められ冷阻血下での導入効率が高かった。一方、retrovirus vectorの遺伝子導入には肝切除が必要であった。
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