| 研究概要 |
ブタなどの大動物の肝臓に対する生体内での遺伝子導入を達成することは, (ブタから)ヒトへの異種移植やヒト肝臓への遺伝子治療を実現するためのステップとして極めて重要である。しかし,生体内でのブタ肝臓対する有効な遺伝子導入法は報告されていない。われわれは生体内分離冷却肝潅流法を用い,長時間,高濃度のadenovirus vectorをブタの肝臓と接触させ,さらにこれと全身免疫抑制を組み合わせることにより,adenoviral vectorによるブタ生体肝臓への高レベルの遺伝子導入に成功した。これらについては、国内外の学会発表と論文発表をおこなった。
また本法を応用することにより,従来導入効率が低いとされるretrovirus vectorについても,肝切除後のラット肝臓に高レベルの遺伝子導入が可能であった(論文投稿中)。またretrovirus vectorの遺伝子導入効率を著しく高める可能性がある,pseudotyped retrovirus vectorを用いた遺伝子導入においても同様の実験を行い,高率の肝臓への導入効果を得た(論文投稿中)。これらのretrovirus vectorをもちいた遺伝子導入の方法論を用いて,生体肝臓(ラット,ブタ)へのvon Willbrand factorの遺伝子導入効果を検討する予定である。
またvon Willbrand factorを運ぶ,HVJリポソーム法を用いたベクターを作製中であり,これについてもわれわれの遺伝子導入法を検討する予定である。さらに,in-vitroにおいてVon Willbrand factorの血管内皮への遺伝子導入をおこない,これを肝類洞内に定着させることによる遺伝子導入効果についても検討中である。
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