研究概要 |
(1)ブタの細胞移植及び心筋梗塞モデルへの心筋細胞移植に関して細胞培養を行った。しかしアロ移植においても、かなりの免疫抑制が必要であること、また梗塞部位への移植には血流不足によって移植細胞の生着困難が判明した。そこで現在、補体活性化抑制遺伝子や血管新生に関与する遺伝子の導入を行っている。(2)Gene Gun法による心筋へのin vivo遺伝子導入に関して検討した。その結果、最長6週間までの発現を認め、他臓器に導入遺伝子は検出しなかった。本法による心臓へのin vivo遺伝子導入は有用な方法と考えられた。(3)ラット及びヒト培養細胞を対象にEB-Virus episomal Vectorを用いた遺伝子導入に関する研究を行った。結果、短期間ではEB-Virus episomalVectorの方がすべてにおいて有意に酵素活性が高く、in vivoの検討にても同様にEBV-vectorの方が強く発現した。(4)凍結保存異種大動脈弁の臨床使用についてブタ-イヌの異種移植モデルにて実験を行った。その結果、異種大動脈弁は凍結保存することにより免疫原性が低下すると考えられ、凍結保存法の変更と確立などにより、臨床応用も可能であると予想された。(5)小動物のラットにコンダクタンスカテーテル法を用いて生体位心での左室圧ESPVRを測定することができた。さらに,装置を調整し,カテーテルの微細化を図れば,マウスにおいても同様に心機能評価が可能になると考えられた。(6)ラットの血液交叉潅流ラット摘出Ca2+過負荷急性不全心を作製し、形態学的・生化学的に検討した。その結果、トロポニンTやトロポニンIの分解及び筋原繊維の形態学的異常は生じていなかったが、ミトコンドリアの膨潤が生じていた。本実験の結果からCa2+過負荷を防ぐ方法を探索することによって手術及び心移植における心筋保護法の新たな展開が考えられた。
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