研究課題/領域番号 |
09307032
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
|
研究分担者 |
織田 弘美 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60101698)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60126133)
黒川 高秀 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90010298)
|
キーワード | 破骨細胞 / アデノウイルスベクター / LacZ / EGFレセプター |
研究概要 |
まずlacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを用いて破骨細胞への遺伝子導入効率を調べた。LacZを発現する破骨細胞の割合はウイルス数を増加させるにともなって上昇し、1細胞あたり100個のウイルス粒子を感染させると85%以上の破骨細胞にLacZの発現が見られた。次にレセプター型のチロシンキナーゼであるEGF(上皮増殖因子,epidermal growth factor)レセプター遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、EGFによる破骨細胞機能の調節を試みた。EGFレセプターウイルスを感染させると、破骨細胞においてウエスタンブロット、免疫染色にて明らかなEGFレセプターの発現が認められた。この細胞をEGFで刺激すると数時間で明らかな形態変化が認められ、細胞の収縮、巨大な空泡の出現が確認された。これと同時に破骨細胞の骨吸収能は低下し、象牙質切片上での吸収窩の形成はEGFの用量に依存して抑制された。一方コントロールウイルスを感染させた破骨細胞ではこのような効果は認められなかった。EGFレセプターと同じレセプター型のチロシンキナーゼであるM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子,macrophage colony stimulating factor)レセプターは破骨細胞に大量に発現し、M-CSFは破骨細胞の細胞死を抑制することが知られている。これと同様にEGFレセプターを発現させた破骨細胞はEGFによって細胞死が抑制されることが明らかになった。今後破骨細胞機能に重要であることがわかっている情報伝達経路を促進、抑制することによってin vitroのみならず、in vivoにおける骨吸収調節を考えている。
|