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1998 年度 実績報告書

アデノウイルスベクターを用いた骨疾患遺伝子治療の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09307032
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京大学

研究代表者

田中 栄  東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)

研究分担者 織田 弘美  東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60101698)
中村 耕三  東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
キーワード破骨細胞 / アデノウイルスベクター / Src / Csk / 遺伝子治療
研究概要

破骨細胞は、生理的な骨吸収のみならず病的な骨破壊においても中心的な役割を果たす細胞である。われわれは昨年、アデノウイルスベクターを用いて破骨細胞に効率よく外来遺伝子の導入が可能であることを明らかにした。また受容体型のチロシンキナーゼであるepidermal growth factor(EGF)receptor遺伝子を導入することによって、破骨細胞の機能をEGFによって調節することに成功した。これまでわれわれを含むいくつかのグループによって非レセプター型のチロシンキナーゼであるc-Srcは破骨細胞機能に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。本年度はc-Srcの機能をネガティブに調節する遺伝子であるCsk遺伝子を組み込んだアデノウイルスを作成し、これを用いて破骨細胞機能のin vitroでの調節を試みた。CskはSrcファミリーチロシンキナーゼのC末端のチロシン残基を特異的にリン酸化することによってその機能を抑制する分子として岡田らによって同定された細胞質型チロシンキナーゼである。まずCskおよびキナーゼ活性を欠損した変異型Csk遺伝子を組み込んだ組換えアデノウイルスを作製した。組換えウイルスの作製は斎藤らが開発したCOS-TPC法を用いて行った。またプロモーターとしては、様々な細胞で効率よい遺伝子発現が得られるCAG[cytomegalovirusIE enhancer+chicken β-actin promoter+rabbit β-globin poly(A)signal]プロモーターを用いた。このウイルスの感染により、破骨細胞にCskおよび変異型Csk遺伝子を大量に発現させることが可能であった。このとき破骨細胞のc-Srcキナーゼ活性の低下が用量依存性に認められた。破骨細胞へのCskの大量発現によって、破骨細胞の細胞骨格の破壊が観察され、これと同時に破骨細胞による骨吸収能の低下が認められた。一方変異型Cskウイルスは破骨細胞の細胞骨格に影響を与えなかったが、その骨吸収能を有意に上昇させた。これらの結果はCskウイルスを用いることによって破骨細胞の機能調節を行うことが可能であることを示している。現在さらにわれわれはin vivoにおけるCskウイルスの応用を試みている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] S.Tanaka: "Modulation of Osteoclast fundion by adenovins vector-medalod epidermal growth factar receptor" Journal of Bone and Mineral Research. 13. 1714-1720 (1998)

  • [文献書誌] K.Kelly: "Murine bone marrow-derived BMS2 adipocytes support differentiation and function of osteodasl-leke cells in vitro." Endocrinology. 139. 2092-2101 (1998)

  • [文献書誌] Y.Takayama: "Adenorirus-mediated overexpression of C-terminal Src Kinase in type I asirocytos with cell Spreading and attachment to fibronectin" Journal of Bilogical Chemistry. 274. 2291-2297 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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