研究概要 |
1.Basic fibroblast growth factor(bFGF)の慢性関節リウマチ(RA)における関節破壊への関与 現在までに、RAの関節破壊に対する関節液中のbFGFの関与を検討した。RA患者59例、対照として変形性膝関節症(OA)患者37例の膝関節液を採取した。RA患者については、Larsen分類でgrade1〜3の、関節周囲骨破壊が軽度であるRA患者(mild RA)30例、grade4,5の骨破壊が高度であるRA患者(severe RA)8例の2群に分けて検討した。各群の関節中の、tumor necrosis factor-α(TNF-α),interleukin-1(IL-1),IL-6,solubleI L-6 receptor(sIL-6R),bFGFの濃度をELISA法を用いて測定した。また、希釈した膝関節液を、培養新生児マウス頭蓋骨からの^<45>Ca遊離系、および共存培養における破骨細胞様細胞形成系に加えて、その骨吸収活性を測定した。その結果、測定したすべてのサイトカイン濃度は、RA関節液ではOA関節液よりも有意に高かったが、この中で関節破壊の程度と相関しているのはbFGF濃度だけであった。Severe RA由来の関節液は、mild RAおよびOA由来の関節液に比べて強力な骨吸収活性を示し(P<0.01)、この活性は抗bFGF抗体を加えることによって有意に抑制された。以上の結果より、RA関節における関節破壊に関節液中のbFGFによる骨吸収促進作用が関与している可能性が示された。ここまでの結果は、英文雑誌Arthritis & Rheumatismに現在投稿中である。 2.類人猿におけるbFGFの骨形成促進作用 現在までに、パイロットスタディーによって骨折モデルの作製を完了した。尺骨の骨幹部骨折に髄内釘を刺入したモデルを用いて、サルの数が揃い次第、本実験を移ることを予定している。
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