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1997 年度 実績報告書

骨粗鬆症の病態成立に関する分子生物学的機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09307034
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

野田 政樹  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)

研究分担者 田村 正人  鹿児島大学, 歯学部, 助手 (30236757)
川口 奈奈子  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10200700)
二藤 彰  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (00240747)
キーワード骨芽細胞 / 破骨細胞 / 転写因子 / CBFA / MITF / BMP / 骨形成 / 骨吸収
研究概要

平成9年度においては、骨芽細胞の特異的転写因子の解析の目的で、骨芽細胞においてその分化決定の主要な働きをするRuntドメインを持つ転写因子であるCBFA1の発現に着目し、Runtドメインを共有する遺伝子の発現の探索を行った。Runtドメイン遺伝子CBFA/OSF2はそのノックアウトによって骨形成能が完全にブロックされ、軟骨までは形成されるが、骨は形成されない。CBFAの発現パターンを検討すると、その発現はCBFA/PEBP2αA1とCBFA/OSF2の2つのアイソフォームの発現として観察されている。平成9年度においてはまずこのCBFAの発現を骨芽細胞や骨芽細胞に分化する能力を持つC3H10T1/2細胞またNIH3T3細胞、更に骨芽細胞様細胞株としてROS17/2.8、MC3T3E1細胞を用いて検討した。これらの検討により、CBFA/PEBP2αAが構成的に約6.2kbのバンドとして発現していることが確認され、更に骨芽細胞分化を強力に促進するBMPのグループの中でも特にその作用が通常のBMP2よりも10倍以上高いBMP4/7を用いることによって、CBFA/PEBP2αAの発現が強力に促進されることが確認された。その発現はBMP2によってはほとんど影響を受けず、BMP4/7の特異的な作用と考えられた。CBFA/PEBP2αAを強制発現することにより、このアイソフォームの機能を検討した。その結果、ROS17/2.8においては元々強力に発現するCBFAの作用の結果、I型コラーゲンやオステオカルシン、アルカリフォスファターゼ、オステオポンチンが高いレベルで発現しているのに対し、強制発現したCBFAによってコラーゲンが抑制され、またオステオカルシンも抑制傾向を見せた。一方、MC3T3E1細胞では、コラーゲンの発現レベルはCBFA/PEBP2αA1によって抑制され、ROS17/2.8と同じ傾向を示す一方、オステオポンチンはこの細胞においては強力に発現促進を受けることが明らかとなった。更にNIH3T3やC2C12細胞においてもI型コラーゲンの発現レベルはCBFA1/PEBP2αAの強制発現によって抑制されたが、オステオポンチンのレベルに関しては、C2C12では抑制傾向が見られた。以上の点から考え、骨芽細胞特異的な転写因子であるCBFA/OSF2はそのN端の87個のアミノ酸を以って、恐らく骨芽細胞特異的なセットの他の転写因子と蛋白・蛋白の相互作用を持って転写を制御することが考えられた。
破骨細胞の分化決定にかかる転写因子としてはMITFについてその発現レベルを検討し、特に新しい抗体を得て、このMITFが骨芽細胞には発現せず、破骨細胞に特異的に発現すること、但しB16細胞などの非破骨細胞の株においても一部発現する点を明らかにした。MITFは破骨細胞の機能を担う分子をコードする遺伝子の転写に関わると考えられ、今後この点を検討する予定である。
骨芽細胞ならびに破骨細胞の機能を結ぶ液性の因子についての検討は、現在新規の遺伝子の発現に対してその発現を抑制するトランスジェニックマウスを用いた実験を行って検討した。この分子は膜蛋白でありながら、膜結合ドメインが切断されて、液性の蛋白として働き、骨芽細胞や破骨細胞の機能の制御に関わる分子であると考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Y.Liu, M.Noda et al.: "Overexpression of a single helix-loop-helix type transcription factor,scleraxis,enhances aggrecan gene expression in osteoblastic osteosarcome ROS17/2.8 cells." Jounal of Biological Chemistry. 272・47. 29880-29885 (1997)

  • [文献書誌] S.Murakami, M.noda et al.: "Expression of Indiana Hedgehog in Osteoblasts and Its Posttranscriptional Regulation by TGFβ" Endoclinology. 138. 1972-1978 (1997)

  • [文献書誌] Y.Liu, M.Noda et al.: "Scleraxis is expressed in C2C12 myoblasts and its level is down-regulated by bone morphogenetic protein-2(BMP2)." Journal of Celluar Biochemistry. 67. 1-9 (1997)

  • [文献書誌] Y.Ezura, M.Noda et al.: "Identification of a novel suppressive vitamin D response sequence in the 5′flanking region of murine ld1 gene." Journal of Biological Chemistry. 272・47. 29865-29872 (1997)

  • [文献書誌] M.Matsue, M.Noda et al.: "Helix-Loop-Helix Type Transcription Factor,HES-1,Is Expressed In Osteoblastic Cells,Suppressed By 1,25(OH)_2D_3 And Modulates 1,25(OH)_2D_3 Enhancement of Osteopontin Expression" Bone. 20. 329-334 (1997)

  • [文献書誌] A.Nifuji, M.Noda et al.: "Perturbation of BMP signaling in somitogenesis resulted in vertebral and rib malformation in the axial skeletal formation." Jounal of Bone and Mineral Research. 12. 332-342 (1997)

  • [文献書誌] K.Tsuji, M.Noda et al.: "Perturbation of BMP signaling in somitogenesis resulted in vertebral and rib malformation in the axial skeletal formation." Bone. 22・2. 87-92 (1998)

  • [文献書誌] T.Yamashita, M.Noda et al.: "Elongation of the epiphyseal trabecular bone associated with precocious aging in transgenic mice carrying an insertional mutaiton in Klotho gene locus." Journal of Bone and Mineral Research. (in press). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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