研究分担者 |
真下 節 大阪大学, 医学部, 教授 (60157188)
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
末崎 幸生 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80069484)
金品 昌志 徳島大学, 工学部, 教授 (80035617)
白浜 啓四郎 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50039252)
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研究概要 |
麻酔の作用ー濃度曲線から推定される麻酔薬の作用部位の数は約30位あると報告されている.このことから推論出来る麻酔薬の作用対象に対する結合の仕方は非特異的であろうということである.しかし,近年,麻酔薬がナトリウムチャネル蛋白,GABAAレセプター蛋白等々に対して特異な作用を示すという多数の報告がなされている.それらの報告は麻酔薬が30もの意識や痛みなどに関わる因子に作用しているということを証明する根拠にはなるが,麻酔薬がそれらの種々な作用を発揮している分子環境が特異であるかどうかを証明することにはなっていない.作用が特異であることと結合様式が特異である事とは全く別の問題である. 本研究では麻酔薬が作用する分子環境は共通した性質あるいは現象によるものであろうという作業仮設に基づいている. それを示唆するもっとも適切な例は希有気体であるXeのマッコウクジラのミオグロビンに対する特異作用がファンデルワールス力による一般的な結合様式で起こっているということである. 上記の作業仮設のもとに各研究分担者は以下の研究を行い,1998年11月21日に佐賀医科大学で分担研究者とその共同研究者の会を開いた.麻酔作用の定量的解析に極めて重要な吸入麻酔薬の水への溶解度を19F-NMR分光法で測定し,飽和水溶液での麻酔分子周囲の水和のダイナミクスと加圧状態を観測,光合成細菌の光収穫系蛋白質ーバクテリオクロロフィルの再構成体およびクロマトフォアに麻酔薬を添加し田堵希のQY帯の最大吸収波長の短波長シフトからハロタンの非特異的変成作用の観察,マウスの体内水分の重水置換によるイソフルランMACの低下観測から見た麻酔現象に対する構造水の関与の推論,局所麻酔薬センサーのイカ巨大神経軸索内挿入実験によって得た局所麻酔薬の作用機構に対する非解離型麻酔薬の高い寄与率,生体膜の両親媒性領域の物性,麻酔作用の物性論的推論,などが発表の概要である.
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