研究概要 |
1.モルモットの蝸牛局所に15,30および60分間の一過性虚血を負荷し、各種薬剤の保護効果について複合活動電位の(CAP)閾値を指標として検討した。 (1)nNOSの抑制剤である7-nitroindazole(1999年日耳鼻総会で発表,Annals Otol Rhinol Laryngol in press),poly(ADP-ribose)synthetase(PARS)の抑制剤である3-aminobenzamide(1999年日耳科学会で発表,Annals Otol Rhinol Laryngol in press)やphospholipase A2の阻害剤であるmepacrine(2000年AROで発表,Hear Res投稿中)を投与すると,15および30分の虚血動物では閾値上昇が有意に少なかった。これらの結果は,一過性の虚血による障害にNOやnNOS,PARSの過剰な活性化およびphospholipase A2が関与していることを示した所見である。 (2)trifluoperazineおよびW7の効果:calmodulinの拮抗剤である両薬剤を投与すると、1〜50μMでは両薬剤の効果はなかった。(1999年日本聴覚医学会で発表,Hear Res投稿中) 2.サリチル酸が・OHと反応して生成する2,3-および2,5-ジヒドロキシ安息香酸を測定することにより,虚血時の外リンパ中の・OHの変化を調べた。15分および60分の虚血を負荷したが,いずれも再潅流後に有意の増加を認めた。(1999年日耳鼻総会,2000年AROで発表) 3.ステロイドホルモン(prednisolone sodium)の内耳への移行を調べ,一過性には肝や血清中と同程度まで上昇しその後これらの組織よりも高レベルに維持されることを明らかにした。(1999年日本聴覚医学会,2000年AROで発表)
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