研究概要 |
迷路動脈を圧迫することによりモルモット内耳を所定の時間虚血後再潅流し,下記の実験を行った。 1.動物にサリチル酸を投与し,それと・OHの反応産物である2,5-DHBの外リンパ濃度を測定した。30分間の虚血後再潅流したが,再潅開始後120,180,240分で有意に増加しており再潅流時に・OHの産生を示す所見を得た。(2000年日本耳科学会,2001年AROで発表) 2.NOの電解酸化により生ずる電流を測定する装置(Innovative Instruments社製)を用いて,外リンパ中のNO濃度を経時的にリアルタイム測定した。3分間の呼吸器停止によるアスフィキシアを負荷したが,NO測定値は負荷終了後速やかに上昇することが明らかになった。(2000年日本耳科学会で発表) 3.急性実験(虚血再潅流障害(30分)に対する効果をCAP(複合活動電位)を指標として調べた。) (1)・OHの捕捉薬であるdimethylureaとxanthine oxydaseの阻害薬であるoxypurinolおよびallopurinolの投与では,前者は有効であるが後者は無効との結論を得た。(2000年日耳鼻総会で発表,Hear Res in press) (2)adenosineおよびadenosine deaminase inhibitor(EHNA)の効果を調べ,後者は有効なのに対し前者は無効との結論を得た。(Ann Otol Rhinol Laryngol投稿中) (3)鉄キレート剤(defroxamine),nNOS抑制剤(3-amino-7-nitroindazole)およびiNOS抑制剤(aminoguanidine)投与では,前2者は有効であったが,後者は無効であった。(Hear Res投稿中) 4.長期間の観察:虚血後5日間聴性脳幹反応(ABR)を指標として観察した。15分虚血では翌日後にはほぼ回復したが,30分および60分では5日後も閾値上昇を認めた。iNOS抑制剤aminoguanidineを投与するとこれらの閾値上昇は有意に改善した。(2000年日本耳科学会,2001年AROで発表)
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