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2000 年度 実績報告書

眼内血管関連性疾患の病態の解明および治療法開発の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09307040
研究機関九州大学

研究代表者

猪俣 孟  九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30038674)

研究分担者 坂本 泰二  九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10235179)
石橋 達朗  九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30150428)
キーワード血管新生 / 血管内皮増殖因子VEGF / 眼瞼悪性黒色腫 / 網膜下血管新生 / 創傷治癒過程 / 組織プラスミノーゲンアクチベーター / アデノウイルスベクター / トランスフォーミング増殖因子TGF-b
研究概要

生体の血管新生とは単に血管のみの変化ではなく、周辺環境のすべての変化を反映した結果として血管新生が起こることがわかった。
血管新生特異的な増殖因子である血管内皮増殖因子(VEGF)の受容体Flt-1を過剰発現するアデノウイルスベクターを作成し、これを用いて血管新生を抑制すると、実験的マウス眼瞼悪性黒色腫の増殖は明らかに抑制されたが、同部に皮膚潰瘍が形成された(Shiose S,et al.Invest Ophthalmol Vis Sci,2000)。また、加齢黄斑変性の網膜下血管新生モデルラットにたいして同じシステムを用いると、網膜下血管新生は確かに抑制されたが、網膜が激しく障害された(Honda M,et al.Gene Therapy,2000)。つまり、血管新生とは、視力障害など生体に害をおよぼすだけでなく、逆に創傷治癒には欠くべからざる現象なのである。当初我々が、考えたように血管内皮細胞のみを制御しても、治療のためにはむしろ障害となることがわかったので、創傷治癒過程の炎症、線維化を抑えて、いわゆる「きれいな創傷治癒」を行うために、組織プラスミノーゲンアクチベーター(Sakamoto T et al,Hum Gene Ther,1999)や、トランスフォーミング増殖因子(TGF-b)を抑制するアデノウイルスベクターを作成した(Sakamoto T et al.Gene Therapy,2000)。この治療により、線維化ならびに血管新生も少ない角膜創傷治癒が可能となった。
血管新生現象は近年の遺伝子操作技術で可能となったが、生体にとって有益な創傷治癒は、さらに様々な現象を制御することが必要でありさらなる研究が必要である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Sakamoto T, et al: "Target gene transfer of tissue plasminogen activator to cornea by electric pulse inhibits intracameral fibrin formation and corneal cloudiness."Human Gene Therapy. 10・10. 2551-2557 (1999)

  • [文献書誌] Zhang X, et al: "Electron microscopic study on the development of precapsular layer in eyes with exfoliation syndrome."Jpn J Ophthalmol. 44・1. 9-14 (2000)

  • [文献書誌] Shiose S, et al: "Gene transfer of a soluble receptor of VEGF inhibits the growth of experimental eyelid malignant melanoma."Invest Ophthalmol Vis Sci. 41・9. 2395-2403 (2000)

  • [文献書誌] Honda M, et al: "Experimental subretinal neovascularization is inhibited by adenovirusmediated soluble VEGF/flt-1 receptor gene transfection."Gene Therapy. 7・11. 978-985 (2000)

  • [文献書誌] Sakamoto T, et al: "Blockage of TGF-β by in vivo gene transfer of a soluble TGF-β type II receptor in the muscle inhibits corneal opacification, edema and angiogenesis."Gene Therapy. 7・22. 1914-1924 (2000)

  • [文献書誌] Inomata H, et al: "Depigmented atrophic lesions in sunset glow fundi in Vogt-Koyanagi-Harada disease."Am J Ophthalmol. 130・4(印刷中). (2001)

  • [文献書誌] 猪俣孟 ほか: "眼の細胞生物学"(株)中山幸書店. 323 (2000)

  • [文献書誌] 猪俣孟: "眼の組織・病理アトラス"(株)医学書院. 367 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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