研究分担者 |
川浪 雅光 北海道大学, 歯学部, 助教授 (10133761)
亀山 洋一郎 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70113066)
前田 勝正 九州大学, 歯学部, 教授 (00117243)
小田 茂 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70160869)
高田 隆 広島大学, 歯学部, 助教授 (10154783)
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研究概要 |
1.rhBMPを用いた歯周組織再建法の検討 牛骨より抽出したBMPとrhBMP-2とでは,歯周組織に対する反応が異なることが明らかとなった。そこで臨床応用を考え,免疫学的に問題が少なく骨形成能も高いrhBMP-2を中心に歯周組織細胞を用いた研究,および担体に免疫学的に副作用のないポリ乳酸グリコール酸ゼラチン複合体(PGS)を用い動物実験を行った。その結果,rhBMP-2は歯根膜細胞の石灰化能を高めること,PGSを担体として骨欠損を伴う歯周病の治療に用いた場合,歯槽骨のほかセメント質と歯根膜も再生可能であること,中高齢ラットでも骨再生能が著しく増加することが明らかとなった。 2.PDGF,IGF,TGF-β,b-FGFによる歯周組織再建法の検討 PDGF,IGF,TGF-β,b-FGFが歯周組織細胞へ与える影響検討した結果,PDGF-BBは歯根膜細胞の増殖を促進する作用があり,イヌを用いた実験では歯根再植時に用いると根と骨の癒着を防ぐことが示された。IGFとb-FGFは歯根膜細胞の増殖を促進すること,TGF-βは歯肉線維芽細胞を増殖させること,さらにこれらの因子の併用により細胞増殖が増加することが明らかとなった。 3.象牙質や歯周組織に含まれる新しいGrowth factorの検討 象牙質,セメント質,再生途中の組織に含まれるgrowth factorを検討した結果,象牙質中の非コラーゲン蛋白は骨原性細胞や骨芽細胞の増殖を抑制するが,TGF-βを含み骨芽細胞に作用すると考えられた。セメント質にはセメント質由来増殖因子(CGF)が存在し,歯槽骨細胞を増殖させることが明らかとなった。再生途中の歯周組織には骨やセメント質の再生能が認められた。 4.まとめと今後の研究課題 rhBMPは歯周組織再建法に臨床応用できる可能性が高いことが明らかとなり,他のgrowth factorも歯周組織への反応がかなり明らかにされた。今後は各factorの単独使用や併用法について更なる研究を行い再建効果や副作用を明確にする必要がある。
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