研究概要 |
代表者らはすでにHNK-1糖鎖抗原の生合成に関わる二種のグルクロン酸転位酵素(G1cAT)のクローニングに成功しこれをGlcAT-PおよびGLcAT-Sと名付けている。本年度の研究においてGlcAT-P,GlcAT-Sの基質特異性を調べた。比活性を比較すると、糖タンパク質性基質および糖脂質性基質にいずれに対しても、GlcAT-PがGlcAT-Sの100〜200倍高い値をしめした。また、糖タンパク質性基質に対する活性は、GlcAT-Pの場合、スフィンゴミエリンの添加で、GlcAT-Sの場合、ホスファチジルイノシトールの添加で著しく増大した。なお、GlcAT-Pに対する親和性の指標として、アシアロオロソムコイド(糖タンパク質性基質)、パラグロボシド(糖脂質性基質)、UDP-グルクロン酸に対するKm値を求めたところ、それぞれ、4.3μM,47μM,65μMであった。二糖に対する転移活性を測定したところ、GlcAT-P,GlcAT-Sともに、N-アセチルラクトサミン(Galbeta1-4GlcNAc)に最も高い活性を示した。GlcAT-Pは特に厳密な特性を示し、Galbeta1-3GlcNAc、Galbeta1-3Glcに対してほとんど活性を示さなかった。また、種々の複合型N-グリコシド型糖鎖に対する活性を測定したところ、GlcAT-PはN-アセチルラクトサミンの数に比例して、二本鎖、三本鎖、四本鎖と強い活性を示したのに対し、GlcAT-Sは三本鎖の複合型糖鎖に対して最も強い活性を示した。
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