研究概要 |
本研究は、(1)平成9年度と10年度のボーリング調査(石垣島南方沖の石西礁湖および沖縄島南部の具志頭海岸における完新世サンゴ礁の内部構造),(2)光波距離計による潮間帯付近の詳細な地形測量,沖縄島南部,久米島および石西礁湖における礁斜面の地形解析,(3)津波または台風の高潮などによる海岸線の変化と堆積物の移動、(4)シュミットハンマーによる琉球石灰岩と石灰岩塊の岩石強度,(5)伊良部島の沈水ビーチロックなどの調査による完新世におけるサンゴ礁の発達過程と海水準変動の総括を行った。その結果は以下の通りである。 1)沖縄島南部および石西礁湖の完新世サンゴ礁は水深約15〜25mの比較的平坦な面を基盤として,約7600年前以降上方に堆積を開始した。 2)沖縄島南部は隆起地域であることから,約6000年前に第1期のサンゴ礁が形成され,その後,約4000年前頃までに第2期のサンゴ礁が,約2500年前以降,第3期のサンゴ礁がそれぞれ形成された。 3)石垣島南部を含む石西礁湖の完新世サンゴ礁は,約7000〜6000年前のサンゴ礁(石垣島南部),約5000年前にかけての第2期のサンゴ礁(石西礁湖東部),約3600年前以降の第3期のサンゴ礁(石西礁湖東部)に分けられる。 4)約4000〜3000年前頃の広域的な海退現象が示唆される。 5)1771年明和津波によって移動したと推定されているサンゴ礁岩塊,および近年の大型台風による高潮で移動した岩塊を確認した。それらの移動エネルギーは明和津波の移動エネルギーの方が大きいことも判明した。
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