研究分担者 |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60251568)
谷口 清 秋田大学, 教育学部, 教授 (50200481)
室橋 春光 富山大学, 教育学部, 教授 (00182147)
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
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研究概要 |
本年度における重度脳障害,知能障害,自閉症,学習障害研究グループの研究業績は以下の通りである.(1)昨年に続き,生理的反応(随伴性陰性変動と心拍)と行動反応(注視と快表情)を指標に重度脳障害者の期待反応を測定し,重度脳障害者の診断評価を行うための測定条件と評価基準の特定がさらに進んだ.(2)昨年度に続き,自閉症児(7〜13歳)を25名を対象に誤信念課題(社会性発達検査),感覚運動系課題(手指判別,手形模倣等)を実施し,自閉症児の社会性発達について認知能力及び大脳半球機能差の特徴との関係を検討した.(3)重度知能障害児32名を対象に事象関連電位のP3複合を測定すると同時に記憶機能検査を実施し,P3複合と記憶機能検査との間の関係について分析を進めている.(4)昨年に続き,認知処理に関するPASS(Planning,Attention,Simultaneuous,Successive)モデルに基づき各機能単位の測定を可能にするための検討を学習障害児及び知能障害児を対象に行い,機能単位の測定が可能であるとの見通しを得た.(5)学習障害児・周辺児を対象に文章刺激と線パターン刺激に対する眼球運動を測定した.学習障害のタイプ(言語性と動作性)によって眼球運動のパターン(左右眼の注視点数)が異なり,言語性タイプの処理特性が明確になった.(6)多角的・同時的映像画像分析システムによって幼児及び知能障害児の触察課題及び視覚課題解決過程を分析評価を進めた.(7)学習障害児(特に,注意欠陥多動症,ADHDを持つ)及び精神遅滞児を対象に事象関連脳電位のMMN及びP300の測定を行い,MMN及びP300の診断的価値について検討した.(8)算数学習に困難を示す中軽度精神遅滞児を対象に,算数スキルの獲得困難の特徴を検討した.算数スキル及びそれに関連する認知機能を評価するためのコンピュータ支援認知評価システムを構成し検討した.(9)物体視系と空間視系における並列的情報処理に対応する視覚誘発電位の析出が進み,視覚機能の視覚誘発電位による他覚的診断評価の見通しが大きくなった.(10)読み障害児の読み障害モデルを構成し,それに基づいて個別教育プログラムを作成して)読み障害児に治療教育を行い著しい改善を得た.各研究グループでは,これらの研究成果に基づきながら発達神経心理学的モデルの構築へ向けての検討をさらに進めている.
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