研究課題/領域番号 |
09308013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 篤之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50011135)
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研究分担者 |
大森 良太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (10262049)
長崎 晋也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20240723)
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
等々力 賢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10270886)
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キーワード | 人工バリア / 鉄酸化物 / ネプツニウム / 吸着 / 遂次脱離 |
研究概要 |
本年度は、代表的な陰イオンとしてIO_3^-を取り上げ、その吸着挙動を検討した。本研究では、結晶性試料ならびに化学的に生成させた微粒系の2種類のFe_2O_3とIO_3^-の系における吸着量のpH依存性をバッチ実験により調べるとともに、ラマン分光法によりIO_3^-の分子振動状態を観測した。また、量子化学計算を適用し、吸着前後におけるIO_3^-分子振動スペクトルの変化を理論的に検討し、ラマン分光測定結果と比較検討することで吸着構造に対する知見を得ることを目的とした。 その結果、pH=4〜10の幅広い領域においてIO_3^-の吸着が生じていることがわかった。また、吸着量はpHが大きくなるに従い減少する傾向が測定されたが、これはpHが小さいほど表面電位が高くなることが原因であると考えられた。また、pH=10付近で吸着が急激に減少することが観察されたが、このことは、Fe_2O_3表面のPZCとの関係で説明できた。 ラマン分光の結果、770cm^<-1>及740cm^<-1>にピークが出現し、800cm^<-1>付近の対称伸縮振動ピークが消失していることがわかった。また、pHが大きくなるにつれて770cm^<-1>,740cm^<-1>の2本のピークは接近していくことがわかった。これらのことから、この2本のピークが760cm^<-1>付近に存在する非対称縮重伸縮振動が分子の対称性が崩れたことで2本にスプリットし、出現するピークであると考えられる。これらの結果から、IO_3^-分子は対称性を失う構造で吸着していること、pHが大きくなるにつれ吸着力は小さくなっていくもののスペクトルの本数に変化が生じていないことから、吸着構造自体は一定であるということが考えられた。このことは、量子化学計算でも確認された。
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