研究課題/領域番号 |
09308015
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 秀樹 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005980)
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研究分担者 |
福元 謙一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30261506)
矢野 信三 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60005915)
山本 琢也 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50212296)
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キーワード | 核融合炉材料 / バナジウム合金 / 照射損傷 / イオン照射 / ヘリウム / 格子欠陥 |
研究概要 |
1.ヘリウム注入による実験 既設の低エネルギーイオン注入装置を用いてヘリウムイオン注入を行い、注入のエネルギーを変化させることにより、ヘリウムイオンと原子空孔の比を制御し、種々の構成のヘリウム-空孔クラスターを生成させ、その熱的安定性を調べた。この結果、ヘリウムと各種の溶質原子との相互作用、およびクラスターの安定性に及ぼす溶質原子の効果等に関して、重要な知見を得ることができた。これにより、ヘリウムを含む気泡組織の組織制御の手法を開発する方策を得ることができた。 2.析出物の制御 バナジウム合金は一般に酸素、窒素等の侵入型不純物を相当量含んでおり、意図して添加しなくてもこれらに起因する析出物が生成することが多い。今年度は種々の条件で中性子またはイオンにより照射したバナジウム合金中に生成する析出物の同定を行った。さらに、イオン照射によりこれらの析出物組織の長い照射期間中における安定性を調べた。この結果、従来報告されてきていた「チタン炭酸窒化物」というような曖昧な組成でなく、各条件において固有の析出物が生成していることが明らかとなった。長期の照射中での安定性については着手したという段階で、今後重照射領域での挙動を明らかにして行く。 3.コンピュータによる理論解析 照射下における微視組織の発達過程を明らかにすることは、自己修復機構を探索・解明する上で不可欠である。今年度は化学反応速度論に立脚したモデルを用いて、バナジウム合金における照射下の点欠陥濃度、空孔、自己格子間原子それぞれの集合体の寸法、数密度の発達を再現するコンピュータコードを整備した。定性的には実験結果と良い一致を得たが、定量的には数倍の程度の不一致があり、今後モデルの高精度化を図って行く予定である。
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