研究課題/領域番号 |
09308016
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
一政 満子 茨城大学, 理学部, 教授 (60007557)
|
研究分担者 |
岡井 富雄 九州大学, 工学部, 講師 (50150488)
百島 則幸 九州大学, 理学部, 助手 (80128107)
佐久間 洋一 核融合科学研究所, 安全管理センター, 助教授 (30133119)
斉藤 眞弘 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (40027454)
一政 祐輔 茨城大学, 理学部, 教授 (30007760)
|
キーワード | トリチウム / 環境動態 / 重水素野外放出実験 / トリチウム水 / 重水 / 動態解析モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、トリチウム事故放出時の農産物、畜産物、水産物へのトリチウムの移行と残留について、わが国ではトリチウムを用いた野外実験は出来ないことから、重水素を用いた野外実験で外挿できるかを、自然条件の異なる地点での重水素野外放出実験で検討し、実験室内のトリチウムチャンバー実験の結果と比較検討し、環境動態解析を行うことにある。本年度は8月に茨城大学水戸キャンパスにビニールハウスを設置し、そのなかに一定濃度の重水水蒸気を48時間連続放出した。ハウス内の気温、湿度、日照量はエアコンと遮光シートでコントロールした。ハウス内には、3品種の成長段階の異なるポット栽培のイネ、ポット栽培のナス、ダイズとジャガイモ、ハウス内土壌で栽培したダイズとジャガイモとサツマイモ、ポット栽培のブドウ、コマツナなどの各種植物および土壌試料、タナゴ、ドジョウ、シジミがそれぞれ入った水槽とラットのケージが持ち込まれた。ポット栽培のブドウやイネで、大気中の重水の土壌から根を介して葉への移行と気孔を介して葉や実への移行が比較された。農作物の可食部分への重水の移行と有機結合型重水素形成が測定され、重水曝露が植物の成長段階のどこであるかで可食部分への移行速度、有機結合型重水素形成速度、曝露後の重水素濃度の減衰が異なることが、明らかになった。暴露後土壌に残留した重水のサツマイモへの移行が測定された。水産物では暴露後の有機結合型への変換、体内被曝についてラットの尿中重水濃度が解析された。土壌への重水の沈着と再吸収が夜間と日中、裸地と芝で覆われた土壌で比較検討された。土壌に沈着した重水からの重水素ガスと重水素メタンへの変換率が測定された。今後異なる自然条件下での実験を行い、動態解析モデル化のためのパラメータを求める計画である。
|