• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

Ash/Grb2下流のシグナル伝達の構造生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09308023
研究種目

基盤研究(A)

研究機関(財)東京都臨床医学総合研究所

研究代表者

稲垣 冬彦  (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (70011757)

研究分担者 寺澤 宏明  (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (10300956)
小椋 賢治  (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (50270682)
畠中 秀樹  (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (00260331)
キーワードAsh / Grb2 / NMR / X線結晶構造解析 / X線小角散乱 / SH2 / SH3 / 動的構造
研究概要

Ash/Grb2の溶液構造をNMR法とX線小角散乱を用いて解析した。
Ash/Grb2は大腸菌を用いて大量発現、大量調整をおこなった。SH3結合ペプチド、SH2結合ペプチドを加えることにより、分子会合を抑え、NMR、X線小角散乱の測定試料として用いた。^<15>Nラベル体、^<13>C/^<15>N二重ラベル体を調整し、HMQCスペクトルを測定した。Ash/Grb2のスペクトルは、個々のドメインのスペクトルとよく対応していた。この事は、Ash/Grb2の各ドメインは溶媒に自由に接していることを示している。既にAsh/Grb2については、X線結晶構造が報告されているが、これによれば、SH3-SH2-SH3の各ドメインはコンパクトにまとまった構造をとっていて、特にSH3相互が互いに近接した構造をとることが報告されている。今回の実験結果は、少なくとも溶液中では、この様な構造を取り得ないことを示している。そこで、この点を確かめるために、X線小核散乱の実験を行った。X線小核散乱の実験より求めた重原子間の距離分布は、80Åまでにわたっていた。X線結晶構造の結果に基づいて計算した距離分布は、せいぜい60Å程度までであり、Ash/Grb2は溶液では結晶と異なる構造をとりうることを示している。そこで、溶液構造についての知見を得るためAsh/Grb2の動的構造のシュミレーションを行った。SH3-SH2のリンカーとして3残基、SH2-SH3間のリンカーとして5残基のアミノ酸について二面角を変化させ、シュミレ-テッドアニーリングの手法を用いて、とりうる構造を検討した。得られた構造のアンサンブルについて求めた距離分布は、実験結果を比較的よく説明した。以上より、Ash/Grb2は溶液中では、フレキシブルな構造をとることを示した。この様なフレキシブルな構造は、標的蛋白との結合に有利であると考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Odaka,M.: "Ligand-binding enhances the affinity of dimerization of the extracellular domain of the epidermal growth factor receptor." J.Biochem.122. 116-121 (1997)

  • [文献書誌] Hatanaka,H.: "Solution structure of ferredoxin from the thermophilic cyanobacterium Synechococcus elongatus and its thermostability." J.Mol.Biol.268. 922-933 (1997)

  • [文献書誌] Ogura,K.: "Comformation of an Shc-derived phosphotyrosine-containing peptide complexed with the Grb2 SH2 domain." J.Biomol.NMR. 10. 273-278 (1997)

  • [文献書誌] Iwasaki.W.: "Solution structure of midkine,a new heparin-binding growth factor" EMBO J.16. 6936-6946 (1997)

  • [文献書誌] Ichikawa,S.: "Solution Structure of Derf2,the major mite allergen for atopic diseases." J.Biol.Chem.273. 356-360 (1998)

  • [文献書誌] Mizoguchi,T.: "The Structure of the aggregate form of bacteriochlorophyII c showing the Q_y absorption above 740nm as determined by the ring-current effects on ^1H and ^<13>C nuclei and by ^1H-^1H Intermolecular NOE correlations." Photocem.Photobiol.67(2). 239-248 (1998)

  • [文献書誌] 稲垣冬彦: "SH3によるプロリンに富む配列の認識(構造生物学とその解析法)" 共立出版(京極好正、月原富武編), 7(192) (1997)

  • [文献書誌] 寺沢宏明: "プレックストリン相同領域の立体構造と基質認識(蛋白質 核酸 酵素)" 共立出版(石川春律、鈴木和男、中西守、猪飼篤編), 8(350) (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi