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1997 年度 実績報告書

分子複合体のX線解析による蛋白質の分子認識機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09308025
研究種目

基盤研究(A)

研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

箱嶋 敏雄  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00164773)

研究分担者 清水 敏之  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (30273858)
キーワード構造生物学 / 蛋白質-DNA / 複合体 / 転写因子 / G蛋白質 / 二成分系 / 分子認識
研究概要

本年度は主に、タンパク質-DNA複合体の構造解析を重点的に行った。
酵母由来のリン酸代謝系の転写因子PHO4のDNA結合ドメインとその認識配列DNA(PHO5遺伝子のUASp2)との複合体の結晶構造を分解能2.8Åで決定し、EMBO J.(1997)に発表した。従来のbHLHモチーフでは見られなかった第三のヘリックスがループ部分に存在すること、及び、E-boxと呼ばれるbHLHの認識する共通配列(CACGTG)に続く3'-側の2塩基対を余分に認識していることを発見した。ホモ二量体の非対称認識を示す最初の例である。
また、分裂酵母由来のAP-1様転写因子Pap1のDNA結合ドメインとDNAオリゴマーとの高分解能(2Å以上)複合体結晶を作成して、MIRより位相決定した。
bZIPの認識する共通配列はAP-1及びATF/CREBサイトに大別されるが、Pap1(認識配列TAACGTTA)などの幾つかのbZIP転写因子はこれとは異なる種々の配列を認識することが知られており、その認識メカニズムは不明であった。本構造はこの非共通配列をもつ複合体の最初の解析例であり、塩基認識の多様性について新しいパラダイムを提出できる可能性がある。
更に、マウス由来の転写因子IRF-2のDNA結合ドメインとDNAオリゴマーとの複合体結晶を、MIR-MRより位相決定した。IRF-2は繰り返し配列にタンデムに結合しており、IRF-1/DNA結晶で報告されているような大きなDNAの湾曲が局所的には存在するもの、分子全体としては互いに打ち消し合っていることが明らかになった。これらのPap1/DNAとIRF-1/DNAの複合体は、現在、更に構造精密化中である。
その他、真核細胞における細胞内情報伝達系での蛋白質間の分子認識機構を解明する目的で、低分子量G蛋白質RhoA-GTPγS複合体の結晶を得て構造決定した。更に、マウス海馬cDNAライブラリーからクローニングされた新規セリンプロテアーゼであるニューロプシンの結晶構造を決定した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] A.Toumoto: "Preliminary X-ray studies on a new crystal form of PHO4-DNA" Acta Crystallographica. D53・1. 103-104 (1997)

  • [文献書誌] M.Kato: "Insights into multistep phosphorelay from the crystal structur" Cell. 88・5. 717-723 (1997)

  • [文献書誌] T.Kishi: "Crystallization and preliminary X-ray studies of neuropsin" Journal of Structural Biology. 118. 248-251 (1997)

  • [文献書誌] H.Yaku: "Interaction between the Che Y response regulator" FEBS Letters. 408・3. 337-340 (1997)

  • [文献書誌] S.Kuge: "Use of a fusion protein to obtain well-ordered crystal" Protein Science. 6・8. 1783-1786 (1997)

  • [文献書誌] T.Shimizu: "Crystal Structure of PHO4 bHLH domain-DNA complex" EMBO Journal. 16・15. 4689-4697 (1997)

  • [文献書誌] 箱嶋敏雄: "薬学の進歩13" 薬学研究奨励財団, 143 (1997)

  • [文献書誌] 箱嶋敏雄: "構造生物学とその解析法" 共立出版社, 192 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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