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1997 年度 実績報告書

神経細胞運命決定の核内過程

研究課題

研究課題/領域番号 09308029
研究種目

基盤研究(A)

研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

広海 健  国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (70291888)

研究分担者 岡部 正隆  国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助手 (10300716)
キーワードショウジョウバエ / ニューロン運命決定 / 核内リセプター / リガンド結合領域 / 異所発現 / 構造-機能関係
研究概要

ニューロンによる特異的シナプス形成・軸索誘導といった現象の理解には、神経系の発生過程に於けるニューロンの多様性生成の分子機構の解明が必要である。我々はショウジョウバエの神経系発生過程で特定のニューロン前駆細胞でのみ発現する新しい核内リセプターSeven-upを同定し、Seven-upが複眼において2種類の光受容ニューロン間の遺伝的スイッチとして働くことを明らかにしてきた。Seven-upは進化的に極めてよく保存された蛋白であり、ショウジョウバエとヒトのホモログとの間には、DNA結合領域、リガンド結合領域いずれも93%以上の高い相同性が見られる。しかし、Seven-upのリガンド結合領域のみを酵母GAL4のDNA結合領域と結合した融合蛋白(G74S1蛋白と呼ぶ)も、完全長のSeven-up蛋白同様に、各種ニューロンの運命を変える活性があることが判明した。従って、強制発現されたSeven-upのリガンド結合領域は、多種のニューロンの運命決定に関与している別の蛋白(蛋白Xと呼ぶ)を吸収する事によりその効果を発揮している、という可能性が強い。Seven-upのリガンド結合領域の構造-機能関係を明らかにするため、G74S1蛋白の機能を失活させる点突然変異を検索した。得られた10個のミスセンス変異の内、3個はSeven-upのリガンド結合領域内の変異であり、内2個はリガンド結合領域の構造維持に重要な働きをしていると想像されるアミノ酸残基の変異であった。しかし意外にも、残りの7個はGAL4のDNA結合領域の変異であることが判明した。このことは、G74S1蛋白の効果発揮のためにはこの蛋白がDNA結合能をもつことが必要であることを示しており、蛋白XとSeven-upの相互作用がクロマチン上で起こることを示唆している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Ito,K., Awano,W., Suzuki,K., Hiromi,Y.,and Yamamoto,D.: "The Drosophila mushroom body is a quadruple structure of clonal units each of which contains almost identical set of neurons and glial cells." Development. 124. 761-771 (1997)

  • [文献書誌] Butler,S.J., Ray,S.and Hiromi,Y.: "klingon,a novel member of the Drosophila Immunoglobulin superfamily,is required for the development of the R7 neuron." Development. 124. 781-792 (1997)

  • [文献書誌] Okabe,M.and Okano,H.: "Two-step induction of chordotonal organ precursors in Drosophila embryogenesis." Development. 124. 1045-1053 (1997)

  • [文献書誌] Hacohen,N., Kramer,S., Sutherland,D., Hiromi,Y.and Krasnow,M.A.: "sprouty encodes a novel antagonist of FGF signaling that patterns apical branching of the Drosophila airways." Cell. 92. 253-263 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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