研究分担者 |
伊藤 豊志雄 東京大学, 実験動物中央研究所, 室長(研究職) (20106644)
野村 達次 東京大学, 実験動物中央研究所, 所長(研究職) (10072399)
伊藤 喜久治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50100045)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
日置 恭司 東京大学, 実験動物中央研究所, 室長(研究職) (80208735)
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研究概要 |
1.免疫賦活作用の強いPropionibacterium freudenreichii培養液(Pf)、二次胆汁酸産生抑制のみられる乳酸菌醗酵産物(Streptococcus thermophilus,Lactobacillus bulgaricus:LF-3)、ならびに4種の菌株(Lactobacillus casei,L.fermentus,Leuconostoc mesenteroides,Saccharomycos cerevisiae)を大豆タンパクを主とする培地で培養した醗酵産物(LF-4)を通常飼料に10%添加した飼料をrasマウスの給餌した。rasマウスは1,2-dimethylhydrazine(DMH)を20mg/kg体重で週1回20週間皮下注射を行った。大腸癌の発生は、発症率、発生腫瘍数、腫瘍スコアーで評価した。その結果、Pf添加群では対照群に比べて腫瘍発生の抑制傾向がみられた。LF-3添加群では有意に腫瘍抑制効果がみられた。LF-4は使用された4菌種を単独または混合培養したものを飼料に添加した。その結果、L.casei,L.fermentus,S.cerevisiae単独培養群では腫瘍抑制効果がみられたが、Leu.mesenteroides単独培養群、またLeu.mesenteroidesの含まれる群(L.casei,L.fermentus,Leu.mesenteroidesおよびLF-4)では腫瘍抑制効果はみられなかった。 以上の結果はrasマウスは乳酸菌醗酵産物大腸癌抑制効果を評価するのにきわめて感受性のすぐれた実験動物と考える。 2.二次胆汁酸で大腸癌のプロモーターであるデオキシコール酸を生成するノトバイオートと脱抱合はするが、二次胆汁酸を生成しないノトバイオートならびに無菌マウスのrasマウスを用いてDMH接種による大腸癌の発生を比較した。飼料はコレステロール1%添加したものを用いた。その結果いずれの群でも有意な差はみられず、DMH誘発大腸癌は単に胆汁酸組成だけではないことが示唆された。 3.食餌性の変異原物質であるヘテロサイクリックアミンの一つであるAαCを600ppM吹水ビンに添加して20週間rasマウスに給与した。その結果発癌性は確認できなかった。さらに検討中である。
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