研究課題/領域番号 |
09309008
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
嶋田 敬三 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80112473)
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研究分担者 |
三室 守 山口大学, 理学部, 教授 (40142004)
高宮 建一郎 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80037259)
若尾 紀夫 岩手大学, 農学部, 教授 (30003784)
伊藤 繁 東京都立大学, 基礎生物学研究所, 助教授 (40108634)
平石 明 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40283486)
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キーワード | 光合成細菌 / 亜鉛 / バクテリオクロロフィル / 好酸性細菌 / 反応中心 / スペシャルペア / クロロフィル生合成系 |
研究概要 |
亜鉛バクテリオクロロフィルを持つ好酸性細菌(Acidiphilium)の色素系・光合成系に関する本年度の主たる成果は以下の通りである。 1.亜鉛バクテリオクロロフィル(Zn-BChl)の生合成:本菌ゲノム上にprotoporphyrinのマグネシウムキラターゼのホモログが1コピー存在することが明らかとなり、Rba.capsulatusの欠損株との相補性実験から、このホモログはマグネシウムキラターゼの機能を有していることが証明された。また、本菌菌体にはMg-protoporphyrin IXは見いだされるもののZn-protoporphyrin IXやそのメチルエステルなどは見いだされないことから、Zn-BChlは、一度テトラピロール環に挿入されたMgがZnと置換することによって生成するものと考えられた。 2.反応中心バクテリオクロロフィルの存在状態:本菌の反応中心に含まれるバクテリオクロロフィルはすべて亜鉛型であり、これと関連してスペシャルペアクロロフィルの酸化還元電位に影響のあるHis残基がGlu残基に置き換わっていることはすでに報告したが、このスペシャルペアに対応する2分子のZn-BChlの存在状態について分光学的手法による詳細な解析を行った。単離反応中心標品は完全に還元型であったにもかかわらず光酸化による吸光度、磁気円偏光2色性の変化はMg-BChlスペシャルペアの場合の約半分であったこと、吸収スペクトルおよび円偏光2色性スペクトルの解析よりhigher exciton stateの生成率が大きいことが明らかとなり、反応中心のprimary donor Zn-BChlは2量体状態ではあるがMg-BChlスペシャルペアの場合に比べて2分子間の相互作用が弱く、励起状態も片方の分子に偏って存在すると推定された。 3.酸性環境から新規好気性光合成細菌Acidisphaeraを単離し記載した。しかしながらこの菌からはMg-BChlのみが検出されZn-BChl合成能はないものと判断された。Acidiphiliumをの亜鉛利用系を研究する上で良い対照材料となると考えられる。
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