研究分担者 |
宇野 博 [株]鷺宮製作所, 開発課, 参与(研究職)
大竹 雄次 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60282729)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
大友 幸子 山形大学, 教育学部, 助教授 (40143721)
中嶋 悟 東京大学, 地震研究所, 教授 (80237255)
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研究概要 |
岩石の変形,岩石中の流体移動,および間隙流体を媒介とした物質移動は,地震と地震予知・地球内物質大循環・地球環境問題など,学問的にも社会的にも重要性の高い問題と関連して極めて重要である.本研究は,高温・高圧下で物質の透水性および粒界・空隙などを充填した流体中の溶質拡散係数を測定するシステムを開発し、地震研にすでに設置されている岩石の高温変形試験機と組み合わせて,高温熱水条件下において変形・透水・粒界拡散係数に関する総合的な試験システムを完成しようとするものである.これまで変形・透水性・粒界拡散が別々に研究されてきた背景には,それらの現象を同時に調べることのできる試験システムが開発されてこなかったという技術上の制約もあった. 本年度は,このような現状を打破するために,変形と間隙流体の移動を同時に再現できる汎用実験システムを設計・製作した.実験システムでは,アルゴンガス(高温で安定な不活性ガス)を圧媒体として用いており,内熱式加熱炉を用いて,1,000℃近い温度,300MPa以下の封圧,最大300MPaの間隙圧の下で変形・透水実験をおこなうことができる.透水係数は,水またはガスを用いて,定差圧法・定流速法・間隙圧パルス法・間隙圧振動法などの多彩な方法で測定することが可能である.これによって,断層帯で予想されるような,流体が非常に通りやすい場合(断層が動いた直後など)と非常に流体が移動しにくい場合(断層帯が充填された時など)においても透水性の測定が可能である.次年度に開発が予定されている間隙圧制御部の基本設計を終えることができたが,粒界拡散を測定用ピストンの細部は検討中である.これは,ピストン部分の製作で対応できるので,研究計画の遂行に大きな支障はない.また,変形実験と平行して,領家帯・手島の小規模剪断帯の調査をおこなった.
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