MRSA及び肺炎球菌に抗菌活性を示すポリ酸を基盤とする消毒剤と医薬品の開発

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09354009
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 山瀬 利博 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (80016576)
• 研究分担者: 笠野 宏之 ポリトロニクス(株), 研究開発部, 専務 ; 成毛 治朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (40237623) ; 竹中 章郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (80016146) ; 茂田 士郎 福島県立医科大学, 細菌学講座, 教授 (00045634)
• キーワード: ヘテロポリ酸 / バナジン酸 / バナジル化合物 / 抗MRSA活性 / 抗肺炎球菌活性 / ペニシリン結合蛋白 / ポリタングステン酸

研究概要

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、低濃度のポリタングステン酸存在下で培養した場合、β-ラクタム抗生物質に感受性となることを見い出した。MRSAの膜タンパク質をSDS-PAGE(電気泳動)により分離することにより、MRSAの細胞膜中のペニシリン結合タンパク質の1つであるPBP2′の産出量がポリタングステン酸存在下での培養により著しく抑制されることが明らかとなりこれが抗菌作用メカニズムと関連づけられた。
肺炎連鎖球菌に対するポリ酸の効果はバナジン酸及びバナジル化合物が選択的に優れた抗肺炎連鎖球菌活性を示すことを見い出した。RIラベルした種々の基質の菌体への取り込みに対するバナジウム化合物の阻害作用が明示された。さらにバナジウム化合物の処理によって菌体からK^+イオンが流出すること、肺炎連鎖球菌由来のATPase活性が阻害されることを明らかにし抗菌作用は膜において発現していると結論した。

研究成果

• [文献書誌] S.Shigeta: "A Synergistic Anti-influenza Vivus A (HINI) Activities of PM-523 (Polyoxometalate) and Ribavirin In Vitro and In Vivo" Antimicrob. Agents Chemother.41. 1423-1427 (1997)
• [文献書誌] N.Fukuda: "In Vitro Antibacterial Activity of Vanadate and Vanadyl Compounds against Strepto coccus pneumoviae" Biol. Pharm. Bull.20. 927-930 (1997)
• [文献書誌] H.Naruke: "Structure of Pialuminohexalu tetiopenta (hexaniobate) : comparison with Europium Analogues" J. Alloys & Compounds. 255. 183-189 (1997)
• [文献書誌] T.Yamase: "Europium (III) Luminescence and Intramolecular Energy Transter Studies of Polyoxometaloeuropates" J. Phys. Chem.101. 5046-5053 (1997)
• [文献書誌] T.Ozeki: "Structures of Tetrakis (tert-butylammonium) Riperoxo tetra-molybdate (4-) and-tungstate (4-)" Bull. Chem. Soc. Jpn.70. 2101-2105 (1997)
• [文献書誌] T.Yamase,: "Structures of Photochemically-Prepared Mixed-valeuce Polyoxo-Vanadate Clusters : Oblong 〔V_<18>O_4(N_3)〕^<14->, Superkeggin---." J. Chem. Soc. Dalton Trans.2463-2472 (1997)
• [文献書誌] 山瀬利博(分担): "ウイルス感染症の治療" 医薬ジャーナル(印刷中), (1998)
• [文献書誌] 山瀬利博(分担): "希土類の科学" 化学同人(印刷中), (1998)