研究課題/領域番号 |
09354011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 英実 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60027480)
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研究分担者 |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00227828)
木村 賛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20161565)
堤 定美 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (00028739)
山下 真幸 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80255009)
国松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
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キーワード | X線CTスキャナ / 画像解析システム / 三次元的形態学 / データベース / 大型類人猿 / 古人骨 / 前頭洞 / 大腿骨 |
研究概要 |
人類の由来や生活史と関連して、器官や組織の形態、構造の解析的研究が近年改めて重要視されている。そこで、この研究では改良型X線CT装置、画像解析システムなどをベースとして、非破壊的、省時間的、省力的な計測・解析システムの開発と応用研究、三次元的形態学情報の広範な提供を目指したデータベースの構築を目指した。 本年(11)年度で実施した研究等は、三次元解析システムの開発(A)、応用研究(B)、データベースの構築(C)であり、主な結果を以下に記す。 (A) 骨の解析用にはCT値を用いるが、この値は空気で-1000、緻密質で3000以上と非常に広範となる。したがって、膨大な数の連続CT画像からの三次元データ構築や、それらを用いた解析においては、このCT値が大きな障害となる。そこで、CT値を単純化するシステムを開発した。 (B) (1)大型類人猿の系統を論じる上で前頭洞は重要な形質の一つであり、ここではチンパンジーについてその発達と変異を分析した。その結果、アフリカの大型類人猿はアジアの大型類人猿と著しく異なることが明確となった。(2) 大腿骨の形態は運動様式と密接な関連をもつ。そこで大腿骨の構造解析を6種の霊長類について行ったところ、地上性霊長類では前後方向の強度が大きく、逆に樹上性のアームスイングをおこなう霊長類では左右方向の強度が大きいことが判明した。(3) 化石類人猿の運動様式を復元する上で、前腕の橈骨と尺骨の位置関係が一つの問題となる。橈骨切痕に焦点を当ててヒトの切痕を分析した結果、類人猿でもサル類と同様に前方を向くと推定された。 (C) 三次元形態のデータベース構築では、縄文人、現代日本人、メソポタミア古人骨などについて高精度のデータベースを構築した。今後もデータの追加を行うが、その一部を遅くとも今年末までに内外に公開する。
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