研究課題/領域番号 |
09355001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白木 靖寛 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00206286)
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研究分担者 |
中川 清和 日立製作所中央研究所, 主任研究員
宇佐美 徳隆 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20262107)
長田 俊人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00192526)
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キーワード | 量子細線 / 量子ドット / Si(311)面 / ガスソース分子線エピタキシ- / Stranski-Krastanow成長様式 / 選択成長 |
研究概要 |
機能性IV族半導体超構造として、ガスソース分子線エピタキシ-法を利用して、Si基板上にGe量子細線構造を作製することを試みた。基板としては、通常の(100)面に加えて、(311)面という特殊な面方位を用いた。(311)面は、V溝に加工したSi基板上にSiをホモエピタキシャル成長させた場合、ファセット面として現れる面方位であり、極めて平坦性に優れた量子構造が形成される可能性があると考えたからである。Si(311)面に、さまざまな成長温度でSiを成長させたところ、成長温度が780℃以上の高温では、極めて均一性に優れたテラス幅が200nm程度のステップが表面に形成された。このようにして表面に均一なステップを形成し、1原子層以下のGeを成長させたところ、光学特性において、通常の量子井戸構造とは異なる興味深い結果が得られた。量子井戸の場合は、励起強度の増加とともに、発光ピークが高エネルギー側にシフトするが、Ge/Si(311)構造においては、そのようなシフトは観測できなかった。これは、ステップ端に、Ge原子が選択的に付着するという性質から、量子細線構造が形成され、バンド端における状態密度が著しく増大したことによるものと考えられる。また、種々のチャネル幅を有する歪みSi2次元電子ガス試料を作製後、アニールによる電気伝導特性の熱処理温度依存性を測定し、散乱要因の変化を調べた。アニール温度が800℃以上の場合にすべてのサンプルの移動度が減少し、キャリア濃度の増加する傾向が観測された。単一サンプルにゲート電圧を変化させてキャリア濃度に対する移動度を測定することによっても、チャネル側に不純物が拡散していることが確認され、またSbの拡散距離からもその結果が妥当であることがわかった。これらの結果から、移動度の減少はドーパントがチャネル側に拡散したことによるイオン化不純物の影響によることが明らかになった。
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