研究課題
次世代の液晶ディスプレイデバイスのための大口径ガラス基板上への多結晶シリコン薄膜の低温堆積技術およびULSI低誘電率薄膜形成におけるラジカル計測技術と薄膜形成機構について研究・開発を行い、下記の成果が得られた。1.室温あるいは300℃という低温絶縁性基板上で多結晶シリコン薄膜の結晶化率95%を達成した。また、デバイスの実現に重要である薄膜初期成長課程の制御により基板界面に存在する非晶質シリコン中間層を6nm以下と極めて薄くすることにも成功した。これらの結果は、UHF帯プラズマ技術が多結晶薄膜トランジスタを実用化する上で極めて有望であることを示唆している。2.薄膜形成機構を解明するために、赤外半導体レーザー吸収分光法によるラジカル計測を進めるとともに電子付着型質量分析法による高密度プラズマ中の高次ラジカル計測を実行し、低誘電率薄膜形成に重要なフルオロカーボン系プラズマ中の高次ラジカルの挙動をはじめて系統的に解明した。UHF帯シランプラズマ中のラジカルとして極めて重要な役割を果たしている水素原子の密度計測法としてマイクロホロー型真空紫外吸収分光法を確立し、プラズマ中の水素原子密度をはじめて明らかにした。さらに、上記方法を用いて、プラズマ中の窒素原子および炭素原子密度の計測にも成功した。3.上記計測手法をUHF帯シランプラズマに応用し、Si原子と水素原子の計測結果から高品質多結晶シリコン薄膜の形成は、薄膜堆積時に入射するイオンエネルギーと堆積性ラジカルと水素原子とのバランスで決定されていることを解明した。さらに、多結晶薄膜の初期成長過程において、水素原子が薄膜の結晶性に重要な役割を果たしていることを見出した。
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